日本共産党の「自衛隊は人殺しの訓練」発言:なぜ繰り返され、なぜ謝罪したのか?

2025年4月19日 | カテゴリー:政治・社会

自衛隊の活動

最近、滋賀県議会で日本共産党の議員が自衛隊の訓練を「人殺しの訓練」と表現し、大きな議論を呼びました。この発言に対し、自衛隊家族会が強く抗議し、共産党県議団は謝罪に追い込まれました。しかし、過去にも似た発言が繰り返されてきた背景には何があるのでしょうか? そして、なぜイデオロギーを変えないまま謝罪したのでしょうか? この記事では、その理由をわかりやすく解説します。

1. 発言の概要と反発

2025年3月19日、滋賀県議会で日本共産党の中山和行議員が、陸上自衛隊の訓練を「人殺しの訓練」と発言しました。この発言は、自衛隊の演習場での実弾射撃訓練中止を求める討論中に出たものです(京都新聞)。
これに対し、滋賀県自衛隊家族会は「自衛隊員への侮辱であり、職業差別だ」と抗議。X上でも「自衛隊は人命救助にも貢献しているのに無礼だ」(X投稿)といった批判が広がりました。
結果、共産党県議団の節木三千代代表は4月18日、議会運営委員会で「不適切な発言だった」と謝罪し、議長から厳重注意を受けました(Yahoo!ニュース)。

2. なぜこの発言が繰り返されるのか?

日本共産党による自衛隊批判は、今回が初めてではありません。2016年には奈良県で同様の「人殺しの訓練」チラシが問題になり、過去にも似た表現が使われてきました(産経ニュース)。なぜ、こうした発言が繰り返されるのでしょうか?

イデオロギーの根深さ

共産党は、憲法9条に基づき、自衛隊を「憲法違反の存在」とみなしています。彼らの綱領では、自衛隊の解消を長期目標とし、軍事訓練を平和主義に反するものと批判します(日本共産党公式)。「人殺しの訓練」という表現は、このイデオロギーを強調するための強烈なレトリックです。

支持者へのアピール

共産党の支持基盤には、反戦・平和主義を強く支持する層が含まれます。過激な表現は、こうした支持者に訴え、党の姿勢を明確にする役割を果たします。特に、自民党など自衛隊を支持する勢力との対立を際立たせる戦略とも言えます。

歴史的背景

1960年代から70年代にかけて、共産党は自衛隊を「国民を殺す訓練」と批判するなど、似た表現を使ってきました(自民党憲法改正推進本部)。このレトリックは、党の歴史的な伝統の一部として現代にも引き継がれています。

「自衛隊は憲法違反」とする共産党の立場は、数十年にわたり一貫していますが、過激な表現が議論を呼ぶことも少なくありません。

3. なぜ謝罪したのか?

共産党のイデオロギーは変わっていないのに、なぜ謝罪に至ったのでしょうか? その理由を以下にまとめます。

  • 社会的な反発の大きさ:自衛隊は、災害救助や国際平和活動で国民から高い信頼を得ています(内閣府世論調査2023年:信頼度約80%)。そのため、「人殺しの訓練」という発言は、自衛隊員や家族だけでなく、一般市民からも強い反発を招きました。
  • 政治的イメージの管理:過激な発言が全国的に注目されると、共産党のイメージが悪化し、中立層や有権者の支持を失うリスクがあります。謝罪は、党のイデオロギーを変えずに批判を和らげる戦略でした。
  • 議会運営の円滑化:議会では、発言による混乱を収束させる必要がありました。議長の厳重注意を受け、共産党県議団は議会運営を円滑に進めるため、形式的な謝罪を選んだと考えられます。

4. 謝罪はイデオロギーの変更を意味しない

重要なのは、謝罪が「人殺しの訓練」という表現の「不適切さ」に限定されている点です。共産党の自衛隊に対する根本的な批判(憲法違反、軍事力反対)は変わっていません。これは、党がイデオロギーを維持しつつ、社会的・政治的コストを抑えるための戦術的な対応と言えます。

5. 今後の展望

共産党は今後も自衛隊批判を続ける可能性が高いですが、過激な表現が逆効果になるリスクを考慮し、言葉選びには慎重になるかもしれません。一方で、自衛隊の活動は国民に広く支持されており、こうした発言は今後も議論を呼ぶでしょう。
この問題は、日本の安全保障や憲法9条を巡る深い対立を反映しています。あなたは、この発言をどう思いますか?

参考文献