2020年、俺は2015年式のポルシェ981ケイマンを620万円で購入した。
その後6年近く、38,000kmを走った。
正直に言う。出発点はポルシェが大好きだから、それだけだ。ただ30年以上投資を続けてきた人間の性として、買う前に需給構造も当然調べた。そして「好きなものが、結果として資産にもなっていた」——これがこの記事で伝えたいことだ。
購入の経緯——なぜ2020年に981ケイマンだったのか
もともと981ケイマンは「いつか乗りたい車」リストの上位にずっといた。2020年はコロナショックで株式市場が急落した年だったが、俺はその局面をなんとか乗り切っていた。「好きな車に乗るなら今だ」——それが正直なきっかけだ。
ただ買う前に、投資家として相場と構造を調べた。その結果、感情と論理が一致した。
- 982(現行型)への移行で981が「枯れた」タイミング——新型が出て旧型相場が落ち着いた後は、中古の買い場になりやすい。株と同じ構造だ。
- NAエンジン最終世代という希少性——982以降のケイマンはターボ化された。自然吸気の水平対向6気筒は981で終わり。希少性は時間とともに上がる。
- 2015年式という「当たり年」——981シリーズの熟成が完成したモデルイヤー。IMS問題(初期986・987の持病)とは無縁で、機械的な信頼性が高い。
コロナ禍で中古車市場が一時的に動いていなかった。売り手も買い手も様子見のタイミング。その隙間で620万という価格で交渉できた。相場より少し安く入れたと思っている。
981ケイマンのスペック——数字で見る「なぜ値崩れしないか」
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 製造年 | 2012〜2016年 |
| エンジン | 水平対向6気筒 自然吸気(2.7L / 3.4L) |
| 最高出力 | 275PS(標準)/ 325PS(S)/ 340PS(GTS) |
| 駆動 | MR(ミッドシップ・後輪駆動) |
| トランスミッション | 6速MT / 7速PDK |
| 車両重量 | 約1,320kg |
スペック表を見るより重要なのは、このエンジンが「もう作られない」という事実だ。ポルシェは環境規制対応でターボ化を進め、981以降のボクスター・ケイマンにNAの水平対向6気筒は搭載されていない。
「もう生産されないもの」は需要が一定でも供給が増えないため、希少価値が時間とともに上昇しやすい。フェラーリやランボルギーニのNA V12が高騰しているのと同じ構造だ。981ケイマンはその初期段階にいる。
6年・38,000km乗って——維持費の実態
「ポルシェは維持費が高い」という話はよく聞く。実際に乗った感覚を正直に書く。
国産スポーツカーより確かに高いが、「維持できない」ほどではない。問題が起きやすいのは電装系と足回りで、これは購入前に整備記録をしっかり確認することで予防できる。俺が買った個体は前オーナーがディーラー整備を継続していたので、今のところ大きなトラブルはない。
| 費用項目 | 目安(年間) | 備考 |
|---|---|---|
| 任意保険 | 15〜25万円 | 年齢・等級・条件で大きく変動 |
| 車検 | 15〜25万円(2年に1回) | ディーラー vs 専門店で差が大きい |
| タイヤ | 10〜20万円(交換時) | 前後異サイズのため割高 |
| 燃料費 | 走行距離次第 | ハイオク。市街地8〜10km/L程度 |
| 自動車税 | 約5万円 | 3.4L以上は排気量区分が上がる |
- 整備記録簿の有無と内容(特にエンジンオイル管理)
- 事故歴・修復歴の確認(フレーム修正があると剛性に影響)
- PDKの場合はクラッチ摩耗状況(交換費用が高額)
- エアコンコンプレッサーの動作確認(981の弱点のひとつ)
リセールバリューの現実——620万の今の価値
2020年に620万で購入した2015年式981ケイマン。2026年現在の中古市場での同等車の相場は380〜500万円台(要出典確認)で推移しているケースが多い。
つまり、6年間乗って38,000km走って、リセールもそこそこ良い
- 供給の減少——981は生産終了から10年が経過しようとしている。年々タマ数が減る。
- NAエンジンへの回帰需要——電動化・ターボ化が進むほど、NAスポーツへの需要は逆に上がる。
- ポルシェブランドの価格維持力——ポルシェは他の欧州車に比べてリセールの下落が緩やかなことで知られる。
- 981GTSの希少性——特にGTSグレードは生産台数が少なく、プレミアムがつきやすい。
売るつもりはないが、「乗るほどに価値が上がっている」という感覚はある。国産スポーツカーのほとんどは乗れば乗るほど値段が落ちる。981ケイマンはその逆方向に動いている。これは投資家として素直に面白いと思う。
なおの独自考察|981ケイマンは「乗れる資産」として今が最後の買い場かもしれない
30年以上、株式市場を見てきた俺が981ケイマンに感じるのは、「人気化する前の優良株」に似た匂いだ。
フェラーリの空冷・NA V12モデルが1億円を超えるようになったのは、「希少性が認識された後」だ。認識される前に買った人間が最も恩恵を受けた。
981ケイマンは今まさにその移行期にいると俺は見ている。
ただし注意点もある。円安が継続する局面では、輸入車全般の維持費・修理費が上昇する。また今後の電動化規制の動向によっては、ガソリン車の維持コストが上がるリスクもある(あくまで推測)。
- 2015〜2016年式の後期型を狙う(熟成完成モデル)
- ディーラー整備記録が継続している個体を優先する
- 走行距離より整備状態を重視する
- GTS・Sグレードはリセール面でより有利
- 相場が動く前、つまり「まだ話題になっていない今」が最後の買い場の可能性がある
俺は2020年に620万で買い、6年で38,000kmを走った。後悔はまったくない。乗るたびに、この車を選んで正解だったと思う。好きだから買った。そして数字もそれを肯定してくれている。これ以上のことはない。
よくある質問
981ケイマンと982ケイマンどちらを買うべきか?
資産価値を重視するなら981。走行性能の最新化を求めるなら982。ただし982はターボ化されており、NAサウンドを楽しみたいなら981一択だ。エンジンフィールは根本的に別物と思った方がいい。
年間の維持費の目安は?
保険・税・車検・消耗品を合計すると年間50〜70万円程度が現実的な目安(走行距離・グレード・整備先により変動)。国産スポーツカーの1.5〜2倍程度と考えておくと外れない。
MTとPDKどちらがおすすめか?
運転の楽しさならMT。日常の使いやすさと速さならPDK。リセール面では現状どちらも大差ないが、MT個体は玉数が少なくプレミアムがつくケースもある。
まとめ
- 出発点はポルシェへの純粋な愛情。ただ買う前に需給構造を調べたら、感情と論理が一致した
- NAの水平対向6気筒は982以降廃止——希少性は時間とともに上昇する構造がある
- リセール相場は購入時より上昇傾向(要出典確認)——「乗れる資産」として機能している
- 維持費は国産より高いが「維持不可能」ではない。整備記録のある個体選びが鉄則
- 投資家の視点で見ると「人気化前の優良株」に似たポジションにある
