日経平均が史上最高値を更新しても「恐怖指数」日経VIが上昇する理由
〜VIXとの比較から見える日本市場の特異な状況〜
2026年1月13日
日経平均株価が連日で史上最高値を更新するなか、市場参加者の間で注目されているのが「恐怖指数」と呼ばれる日経VI(日経平均ボラティリティー・インデックス)の上昇です。通常、株価が急落するときに跳ね上がるはずの指標が、なぜ好調な上昇相場で逆に上がっているのか? さらに、米国の同種指標であるVIXは低位で落ち着いているのに、なぜ日経VIだけが目立って高いのか?
この乖離の背景を整理し、市場が何を警戒しているのかを解説します。
1. 日経平均急騰の背景と日経VIの上昇理由
本日(1月13日)の日経平均株価は終値53,549円(+1,609円)と、連日で最高値を更新する大幅高となりました。主な材料は、高市早苗首相の衆院解散・総選挙検討報道です。このニュースが「政権継続・政策継続期待」を呼び、買いが加速しました。
しかし、同時に日経VIは28.69(前日比+2.32)まで上昇し、20台後半〜30台前半の水準で推移しています。これは一見矛盾しているように見えますが、実は自然な現象です。
日経VIは、日経平均オプション取引から算出される将来1カ月間の予想変動率(インプライド・ボラティリティ)を示す指標です。株価急落時に急上昇するのは有名ですが、急騰時にも上昇することがあります。その理由は以下の通りです。
- 短期的な過熱感と調整警戒
年初から日経平均は5万1,000円台から5万3,000円台へ短期間で急上昇。市場参加者は「上がりすぎ」と感じ、いつ利食い売りや調整が入るかを警戒しています。投資家がプットオプション(下落に備える権利)を買う動きが増えると、VIが押し上げられます。 - 政治イベントの不確実性
衆院解散・総選挙の思惑が株高を招いた一方で、選挙結果次第で政策が大きく変わるリスクがあります。この「短期的な変動要因」が、ボラティリティ期待を高めています。
要するに、株価は「今」好調でも、市場は「このペースがいつ修正されるか」を強く意識しているのです。VIは単なる「恐怖」ではなく「予想変動率」なので、上昇相場でもリスクヘッジが増えれば上昇します。
2. VIXとの比較で見える日本市場の独自リスク
同じ「恐怖指数」である米国のVIXは、現在約15前後と低水準で安定推移しています。歴史的に20以下は「市場は平静」とされ、30以上で「高警戒」となる中、VIXは安心感が優勢です。
この日経VI(高め) vs VIX(低め)の明確な乖離は、以下の違いを浮き彫りにしています。
| 項目 | 日経VI(日本市場) | VIX(米国市場) |
|---|---|---|
| 現在の水準 | 28.69(警戒ゾーン) | 約15(低位安定) |
| 株価動向 | 急騰(政治イベント主導) | 最高値圏で安定(AI・企業業績支え) |
| 主な要因 | 過熱感+政治不確実性(選挙リスク) | 大きな不確実性なし(インフレ後退) |
| 市場心理 | 短期調整・変動を強く警戒 | 低ボラティリティ継続を期待 |
通常、日経VIとVIXはグローバルリスク(地政学、金融危機など)で連動しやすいですが、今回は日本特有の政治リスクが主因で乖離しています。米国市場には選挙の直接影響が薄く、企業業績や利下げ観測が落ち着いているため、ボラティリティ期待が低いままです。
3. 今後の市場への示唆
- 日経VIの高止まりは、株価がさらに上昇しても短期的な調整(利食い売り)が入りやすいことを示唆しています。特に選挙関連ニュースで変動が大きくなりやすい状況です。
- 一方、VIXの低位は米国株の強含みを支えており、日本株もグローバル連動で恩恵を受ける可能性があります。ただし、政治要因で「日本独自の動き」が出やすい点に注意が必要です。
- 両者の乖離がさらに拡大すれば、日本市場の局所的なリスクがより強調されるシグナルとなります。
まとめ
日経平均の急騰は喜ばしい一方で、市場は「過熱」と「政治的不確実性」を強く意識しており、それが日経VIの上昇につながっています。VIXが低迷していることと比べると、日本市場が抱える独自のリスクが浮き彫りになります。
投資家としては、選挙動向を注視しつつ、過度な楽観を避け、リスクヘッジを検討するタイミングかもしれません。市場は常に「次の変動」を先取りしている——それがVIが教えてくれることです。
(データは2026年1月13日終値時点。市場は日々変動しますので、最新情報のご確認をお願いします。)



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