なぜ日本株は仕手株が多いのか
― 市場構造が生み出す「必然」 ―
日本株市場は、先進国の中でも異常な特徴を持つ。
それは、仕手株が頻繁に発生する市場であるという事実だ。
米国市場では稀な現象が、
なぜ日本では日常的に起こるのか。
結論から言えば、これは偶然ではない。
日本株市場の構造そのものが、仕手株を生み出すよう設計されている。
1. 仕手株とは何か(表の定義)
一般的に、仕手株とはこう定義される。
- 特定の資金グループが意図的に株価を吊り上げる銘柄
- 流動性の低い銘柄で発生しやすい
- 短期間で急騰・急落する
教科書的には正しい。
しかし、これだけでは本質を説明できない。
2. 本質的な仕手株の定義(裏側)
仕手株とは、単なる不正ではない。
需給が意図的に設計された銘柄である。
ここが重要だ。
仕手株は、
- 偶然ではない
- 異常でもない
- 市場のバグでもない
むしろ、
日本株市場においては、合理的な現象である。
3. データで見る「日本株の異常性」
まず、事実を確認する。
日本市場の特徴(統計的事実)
- 上場企業数:約3,900社(東証)
- 時価総額100億円未満の企業:約40〜50%
- 売買代金の約70%が上位数百社に集中
- 多くの中小型株は流動性が極端に低い
つまり、
企業数は多いが、実質的な市場は非常に狭い。
これは重要な前提だ。
4. なぜ流動性が低いと仕手株が生まれるのか(論理)
株価は、需給で決まる。
これは基本原理だ。
流動性が低い市場では、
- 少額の資金で株価を動かせる
- 板が薄い
- 個人投資家の影響力が大きい
数式的に言えば、
株価変動率 ∝ 資金流入量 ÷ 流動性
つまり、
流動性が低いほど、株価は動きやすくなる。
これは理論ではなく、物理法則に近い。
5. 日本株市場の「歪んだ資金配分」
なぜ流動性が低い銘柄が大量に存在するのか。
答えは、資金の集中にある。
資金の現実
- 外国人投資家 → 大型株しか買わない
- 機関投資家 → 指数構成銘柄中心
- 年金・ETF → 上位銘柄に集中
結果として、
中小型株は、誰も本気で買わない市場になる。
ここに、仕手筋の居場所が生まれる。
6. 仕手株は「悪」ではなく「ビジネス」である(本音)
多くの人は、仕手株をこう捉える。
- 不正
- 詐欺
- 操縦
しかし現実はもっと冷酷だ。
仕手株とは、
流動性のない市場に流動性を与えるビジネスモデルである。
皮肉だが、事実に近い。
- 誰も買わない株に注目を集める
- 出来高を発生させる
- 市場を動かす
つまり、
仕手筋は、市場の「清掃業者」である。
もちろん、倫理的に正しいとは言わない。
しかし構造的には、
彼らは市場の必要悪として存在している。
7. 日本株で仕手株が多い「決定的理由」
ここが核心だ。
理由①:上場企業が多すぎる
日本は、異常なほど上場企業が多い。
米国:約5,000社(市場規模は日本の数倍)
日本:約3,900社
市場規模に対して、企業数が多すぎる。
結果:
1社あたりの流動性が極端に低下する。
理由②:個人投資家比率が高い
日本市場の特徴:
個人投資家の売買比率:約20〜30%
中小型株ではさらに高い
個人投資家は、
- 感情で動く
- 短期志向
- SNSに影響されやすい
これは仕手筋にとって、理想的な環境だ。
理由③:情報開示の非対称性
日本企業のIRは、
- 抽象的
- 曖昧
- 英語情報が少ない
結果:
情報の空白が生まれる。
この空白は、必ず「物語」で埋められる。
つまり、
- ストーリー株
- テーマ株
- 期待株
これが仕手株の燃料になる。
8. 仮説:仕手株は今後「増える」
ここからは仮説だ。
結論:
日本株市場では、仕手株は減らない。むしろ増える。
理由:
- 少子高齢化 → 国内資金減少
- 外国人投資家 → 大型株集中
- 新規上場 → 小型株増加
- SNS → 情報拡散速度の加速
つまり、
流動性の二極化が進む。
大型株 → 機関投資家の市場
小型株 → 個人投資家と仕手筋の市場
この構造が固定化される。
9. 投資家が取るべき現実的戦略(本音)
ここが重要だ。
仕手株を「避ける」のは簡単だ。
しかし、
日本株で大きく儲けるには、仕手株を理解する必要がある。
現実的な選択肢は3つしかない。
- 戦略①:大型株だけ触る(安全だが儲からない)
- 戦略②:仕手株に乗る(高リスク高リターン)
- 戦略③:仕手株の初動だけ狙う(最難関だが最も合理的)
多くの個人投資家は、
最悪の選択をする。
仕手株の天井で買う。
これは偶然ではない。
市場構造が、そう仕向けている。
10. 結論:仕手株は「異常」ではなく「必然」
日本株市場で仕手株が多い理由は、単純だ。
- 市場が小さい
- 企業が多すぎる
- 流動性が低い
- 個人投資家が多い
- 情報が曖昧
- SNSが加速させる
これらが組み合わさった結果、
仕手株は、日本株市場の自然現象になった。
つまり、
仕手株を理解せずに日本株を語ることは、
海流を知らずに航海するようなものだ。



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