大阪地裁、冷たい法廷。山城豊行は被告席に座る。スーツは皺だらけ、目は虚ろだ。検察官の声が響く。「被告は、東陽ホールディングスの株価を不正に操作し、市場の公正性を損なった」。山城は黙って聞く。頭の中では、銀座のバーの黒川の笑顔が浮かぶ。あの夜、すべてが始まった。
判決は、懲役3年、執行猶予5年、罰金300万、追徴金2億5500万。東陽ホールディングスには、罰金3000万。法廷の外では、株主たちが叫ぶ。「金を返せ!」。山城は無言で護送車に乗り込む。会社は上場廃止、家族は離散。山城の欲は、すべてを焼き尽くした。
黒川博司は、姿を消した。ワシントングループは解散し、メンバーは散り散りに。石田剛は、黒川を捕まえられなかった。課長の佐々木は昇進し、石田は左遷される。刑事の正義感は、闇の中で砕けた。
佐藤健太は、消費者金融の借金を返せず、夜逃げした。千葉の実家は差し押さえられ、母は倒れる。健太は今、地方の工場で働く。掲示板は、もう見ない。夢は、雨の新宿に消えた。
兜町の通りは、静かだ。東陽のオフィスビルは、空っぽ。ネオンの光が、誰もいないアスファルトを照らす。闇の中では、別の仕手筋が動き始めている。黒川の笑顔が、どこかで響く。「次はお前だ」と。



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