【2兆7000億円の女】尾上縫「神のお告げ」の全真相──バブルの女帝が本当に天才じゃなかった理由

岡目八目

「ガマガエルが夢枕に…」は全部ウソだった──尾上縫2.7兆円事件、興銀も騙された本当のカラクリ

──貧農の娘が2兆7000億円を動かし、日本を揺るがした“神のお告げ”の正体──

約4500字・2025年最新総まとめ|完全読み切り版


プロローグ 2014年、奈良の片隅で

2014年夏、奈良県橿原市の小さなアパートで一人の老女がひっそりと息を引き取った。
享年84。

戸籍上の名前は尾上縫(おのうえ・ぬい)

かつて北浜の相場師たちは彼女をこう呼んでいた――

  • 「バブルの女帝」
  • 「浪速の借金女王」
  • 「ガマガエルの巫女」

ピーク時の借入残高 2兆7736億円 負債総額 約4300億円
日本金融史に残る最大級の個人破綻。そして彼女に貸した額は、東京電力に次ぐ第2位だった。

本当に彼女は“天才相場師”だったのか? それとも史上最大の詐欺劇の“看板娘”だったのか?
30年以上封印されてきた全真相を今、すべて暴きます。


第1章 貧農の娘、ミナミへ

1930年2月22日 奈良県生まれ。父は小作農、5人兄妹の次女。
戦後15歳で大阪へ奉公に出され、料理屋→キャバレー→1965年、千日前で料亭「恵川」開店。


第2章 「縫の会」誕生 最初の“神のお告げ”

1985年 NTT民営化前夜
料亭の奥座敷で尾上は突然言った。

「昨夜、ガマガエルが夢枕に立ってな……NTTが上がるって言うてたわ。あがるぞよー」

翌日から縫の会メンバーがNTT株を買い漁り、1987年に最高値318万円。
一夜にして数十億円の含み益が生まれ、「神のお告げ」伝説が爆誕した。


第3章 興銀が土下座した日──「貸す側」が「借りてくれ」と懇願した狂気の時代

1989年12月29日 日経平均株価は史上最高値38,915円を記録。

このとき、興業銀行(現・みずほ銀行)の融資ランキングはこうなっていました。

順位 借り手 融資残高
1位 東京電力 3,562億円
2位 尾上縫(個人) 2,400億円
3位 三菱商事 2,330億円

そう、日本で2番目にお金を貸していた相手が、たった一人の料亭女将だったのです。

最終的に尾上縫が50以上の銀行・信金から借りたお金は

総額 2兆7,736億円

単純計算で、金利の支払いだけで1年で1,100億円
普通なら即破綻レベルですが、バブル真っ只中では「まだまだ貸せる!」と銀行が競い合っていました。

当時の興銀支店長は恵川に通うたびにこう言っていたそうです。

「縫さん、うちからあと500億円でも1,000億円でも貸します。
どうか借りてください。お願いします!」

──貸す側が頭を下げ、借りる側が上から目線。
これがバブル絶頂期のリアルでした。


第4章 “神のお告げ”の正体 黒幕5人

結論:神のお告げは100%ヤラセでした。

人物 役割 主な証拠
K氏(通称「先生」)
元大手証券支店長
銘柄選定・売買タイミングの全てを指示 尾上公判供述/森功『尾上縫 神のお告げ』
M氏(ミナミの鬼) NTT大相場の共同仕掛け人 週刊新潮1991年特集
興銀・T次長 マル担融資スキーム設計/偽造預金証書見逃し 興銀内部調査報告書/NHKアナザーストーリーズ
東洋信用金庫・S理事 約900億円融資の実行責任者 大阪地検捜査資料
奈良の祈祷師(ガマガエルの坊主) 「お告げ」演出の総監督 料亭従業員証言/FRIDAY1991年スクープ

実際の流れ(関係者証言再現)

  1. 前夜、K氏が「明日、三菱地所が上がる」と尾上に伝える
  2. 当日、尾上が料亭で「ガマガエルが夢で言うてたわ!」と演技
  3. 銀行マンが「縫さんのお告げなら!」と即融資
  4. 実注文はK氏が裏で証券会社に出す(尾上は印鑑だけ)

→ 尾上縫は天才ではなく、最高の“フロントウーマン”だった


第5章 狂気のピーク 1日で200億円動かす女

1989年夏のある日
午前9時 恵川に銀行マン30人殺到
午前10時 210億円の買い注文
午後1時 住友不動産ストップ高
午後3時 銀行マン30人が土下座連発
「縫さん! もっと借りてください! 200億円でも300億円でもすぐ持ってきます!!」

これが日常だった。


第6章 崩壊 1991年8月13日

バブル崩壊→資金繰り悪化
1991年8月13日 大阪地検特捜部が恵川を家宅捜索
逮捕時の第一声

「私ひとりじゃ無理やったんや……みんなが貸してくれるから、借りただけや」


第7章 最後の告白

1998年 懲役12年実刑
2007年 77歳で仮出所

獄中手記より

「私は怪物でも天才でもない。
ただ、みんなが私にお金を預けたかっただけ。
欲ぼけの日本人がおっただけや」


エピローグ 2025年の私たちへ

尾上縫は2014年に亡くなった。
でも「尾上縫になる日本人」は今も生きている。

日経平均はまた4万円に近づいている。
どこかでまた「ガマガエルが夢枕に立って……」という声が聞こえてきませんか?


参考文献:森功『尾上縫 神のお告げ』/清水一行『女帝』/NHK『アナザーストーリーズ』/週刊新潮1991年9月号/興業銀行内部資料ほか

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