ミラティブ(472A)IPOで公募買いした人が▲38%を食らった理由——VCのEXITに個人投資家が使われる構造

投資・マーケット

2025年12月18日、ミラティブ(証券コード:472A)が東証グロースに上場した。

公募価格860円。初値751円。上場初日から-12.7%の公募割れでスタートした。

そして2026年3月12日の終値は535円。公募価格から▲37.8%

公募で買った人は3ヶ月で約4割を失った計算だ。これは運が悪かったのではない。構造として最初から決まっていた話だ。

株価推移——崩壊の地図

【ミラティブ(472A)上場後の株価推移】

・公募価格:860円
・上場日初値(2025/12/18):751円(公募比▲12.7%)
・上場後高値:718円(2025/12/23)——初値すら超えられなかった
・2026年1月:700円前後で横ばい推移
・2026年2月13日:711円——一時的な戻り高値
2026年2月16日:567円(-134円・単日最大下落)
・2026年3月4日:472円(期間安値)
・2026年3月12日終値:535円(公募比▲37.8%)

初値751円が事実上の高値だった。上場後一度もそれを超えられないまま、2月16日に崩落が始まった。

2月16日に何が起きたのか

2026年2月16日、ミラティブは前日比-134円(▲19.1%)の大暴落を記録した。出来高121万株——通常の10倍以上の売りが一日で市場に出た。

この日から融資残高(信用買い残)が急増し始める。

【融資残高の急変】

・2026年2月13日:2,100株
・2026年2月16日(暴落日):11,100株
・2026年2月18日:32,600株
・2026年2月19日:40,900株(急増)
・2026年3月9日:57,000株(ピーク)

暴落後に信用買いで「底値拾い」に入った個人投資家が急増している。これが次の下落の燃料になる。

暴落で「安くなった」と信用買いで飛びついた個人が、その後さらなる下落で追い証に追われ強制決済——この連鎖が2月後半から3月の下落を加速させた。

なぜ最初から公募割れしたのか——構造を読む

ミラティブのIPOは「成長企業が資金調達のために上場する」という建前だった。実態は違う。

【IPOの真の目的:VCのEXIT】

グロービス・ANRI・ジャフコなど主要ベンチャーキャピタルが持ち株の約46%を一律売却した。

これは「会社の成長を信じて長期保有」ではなく「上場というイベントを使って利益確定する」という行動だ。

VCにとってIPOは「ゴール」だ。個人投資家にとってIPOは「スタート」のはずだが、VCのEXITを受け取る側に回った時点で構造的に不利になる。

ダウンラウンド上場という事実

ミラティブは上場前、未上場株式の評価額が公募価格を大幅に上回っていた。つまり「ダウンラウンド上場」——未上場時の評価より低い価格での上場だ。

【ダウンラウンドが意味すること】

未上場時に高値で株を買ったVC・エンジェル投資家は、上場価格でも「損」をしている状態だ。

それでも上場するのは「未上場株より上場株の方が売りやすい」から。流動性がない未上場株を抱え続けるより、上場して市場で売却する方がVCにとって合理的な判断だ。

個人投資家はこの「売り圧力の受け皿」として機能させられる。

業績の構造——赤字継続のビジネスモデル

ミラティブの事業は「Mirrativ」というゲーム実況ライブ配信アプリの運営だ。

売上は右肩上がりで、2025年度は売上高71.88億円・営業利益3.49億円で黒字転換している。数字だけ見れば悪くない。

【個人投資家が見落とす3つのリスク】

① ロックアップ解除(2026年6月15日)
主要株主のロックアップ期間は180日——2026年6月15日に解除される。この日以降、上場時に売れなかった株主の売りが市場に出てくる可能性がある。現在の株価推移はロックアップ解除前の「静かな下落」局面だ。

② 競合過多のライブ配信市場
YouTube・TikTok・ニコニコ動画・17LIVEなど競合が乱立する中で、ミラティブ独自の「ライブゲーム」というジャンルがどこまで差別化できるかは未知数だ。

③ 信用買い残の重さ
3月9日時点で融資残高57,000株がピークに積み上がっている。この信用買いが整理されるまで、上値は重い。踏み上げ期待で信用買いしている個人が、さらなる下落で損切りを迫られると二次的な売り圧力になる。

IPO公募買いが「カモ」になる構造

ミラティブに限らず、グロース市場のIPOで個人投資家が公募を買うことのリスクを整理しておく。

【IPO公募の構造的不利】

価格決定権がない:公募価格は主幹事証券(今回は三菱UFJモルガン・スタンレー)が決める。個人に価格交渉力はない。

情報格差がある:機関投資家はロードショーで経営陣と直接対話し、詳細な事業計画を聞いている。個人は目論見書だけだ。

売り手は「今が売り時」と判断している:VCが46%を売却するのは「今が最も高く売れるタイミング」と判断しているからだ。その反対側で買う個人は、売り手より情報劣位にある。

初値が高くなるほど後の下落リスクが増す:今回は初値すら公募を下回った。それでも公募を買った人は即日損失を抱えた。
【では個人投資家はどうすべきか】

IPO銘柄を完全に避ける必要はない。ただし判断基準を持つことが重要だ。

VCの売り出し比率を確認する:持ち株の40%以上を売り出すIPOはVC主導のEXIT案件である可能性が高い
ロックアップ解除日を把握する:解除日前後は売り圧力が集中しやすい
上場後3〜6ヶ月の値動きを観察する:ロックアップ解除後の株価が本来の評価に近い
黒字化直後の上場に注意する:四半期黒字転換を「実績」として使い、高いバリュエーションで上場するケースが多い
📌 この記事の結論

ミラティブの公募買い損失は「運が悪かった」のではない。VCが46%を売り出すEXIT案件を、情報劣位の個人が公募価格で引き受けた——構造として最初から決まっていた話だ。2026年6月15日のロックアップ解除まで、売り圧力の構造は変わらない。信用買い残57,000株の整理も含め、現時点では静観が合理的な判断だ。

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