精密モーター大手ニデックを揺るがす深刻な事態が発生しました。
その中心にあるのは、創業者の永守重信氏による電撃的な辞任と、グループ内で発覚した不適切会計疑惑です。
本記事では、永守氏の辞任の背景にある不適切会計疑惑の詳細な経緯、カリスマ経営者である永守イズムがニデックにもたらした光と影、そして今後のニデックに求められる信頼回復と企業風土改革への道筋を深く掘り下げていきます。
- ニデック永守重信氏が代表取締役を辞任した背景と、不適切会計疑惑の全貌
- 創業者の「永守イズム」がニデックの成長と不祥事に及ぼした影響
- 今回の一連の問題が明るみに出た具体的な経緯と、ニデックのガバナンスの変化
- 今後のニデックが直面する課題と、市場での信頼回復に向けた重要なポイント
ニデック危機の深層:永守重信氏電撃辞任と不適切会計の闇
2025年12月19日、精密モーター大手ニデック(旧日本電産)は衝撃的な発表を行った。創業者の永守重信氏(81歳)が代表取締役および取締役を同日付で辞任し、非常勤の名誉会長に就任するというものだ。後任の取締役会議長には、岸田光哉社長が就く。
会社側は「本人の意向によるもので、ニデックの再生のため」と説明し、引責辞任を否定している。しかし、背景には今年9月に発覚したグループ内の不適切会計処理疑惑があり、第三者委員会の調査が継続中だ。このタイミングでの辞任は、市場や社内外で「実質的な責任を取った形」「クーデターのような動き」とさまざまな憶測を呼んでいる。
ニデックは、永守氏が1973年に創業した精密小型モーターの世界的リーダー。売上高2兆円超のグローバル企業に育て上げ、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」の「永守イズム」で知られる。しかし、その強烈な業績追求が、今回の不祥事の土壌となった可能性が指摘されている。
不適切会計疑惑の発覚経緯
問題の端緒は、2025年7月22日。子会社ニデックテクノモータが本社の監査等委員会に報告した内容だった。中国子会社(ニデックテクノモータ(浙江)有限公司)で、2024年9月下旬にサプライヤーから受けた購買一時金(値引き相当、約2億円)を適切に処理せず、利益操作の疑いがあるというもの。
これをきっかけに、外部専門家を交えた社内調査(デジタルフォレンジックを含む)が拡大。結果、ニデック本体や他のグループ会社でも、経営陣が関与・認識した可能性のある資料が複数発見された。特に、在庫や固定資産などの「資産性にリスクのある資産」について、評価減(減損処理)の時期を恣意的に先送りしていた疑いが浮上。一部元幹部の証言では、こうした減損先送りが「1,000億円超規模」に及ぶ可能性も指摘されている。
別件として、2025年春頃にイタリア子会社での関税未払い問題(原産国表示誤り)が発覚。これが有価証券報告書の提出延期を招き、監査法人PwCジャパンから異例の「意見不表明」を受けた。
9月3日、会社は第三者委員会(委員長:平尾覚弁護士)を設置し、公式に問題を公表。株価はストップ安となり、10月には東京証券取引所から「特別注意銘柄」指定、日経平均・TOPIX構成銘柄から除外された。11月の中間決算では877億円の損失計上を余儀なくされ、信頼失墜は深刻化した。
第三者委員会の調査は当初年内予定だったが、2026年にずれ込む見通し。経営陣(永守氏含む)の責任追及が焦点だ。
「永守イズム」の光と影
永守氏の経営哲学は、ニデックを一代で巨大企業に押し上げた原動力だ。積極的なM&A、短期業績目標の徹底追求、猛烈な働きぶり――これらが世界シェアNo.1の精密モーター事業を築いた。
しかし、その裏側で「業績至上主義」が現場に過度なプレッシャーをかけ、会計処理の「工夫」(売上先食い、費用先送り、減損調整)を生んだとの証言が元幹部から相次ぐ。過去の後継者(例: 関潤氏)の退任劇も、永守氏の強烈なスタイルとの軋轢が原因とされる。
社内では「永守さんが会社から出なければ再生はない」との声すら漏れていたという。81歳という年齢を考慮すれば自然な引退とも言えるが、非常勤名誉会長として残る点は「院政敷き」「実権は手放さない」との疑念を招いている。
なぜ今、問題が明るみに出たのか
過去なら「もみ消し」可能だったかもしれないが、今回は違った。監査等委員会設置会社としてのガバナンスが機能し、子会社からの自主報告が直接本社委員会に上がった。社外取締役の目、外部監査の厳しさも増している。内部統制の強化が、逆に問題を表面化させた形だ。
今後の行方と株価への影響
第三者委員会の最終報告が鍵。過年度決算修正、上場廃止リスク、再発防止策の実効性が問われる。株価はすでに急落し、2025年12月時点で低迷が続く。信頼回復には、風土改革と透明性向上が不可欠だ。
永守氏の手書きコメントでは「企業風土でご心配をおかけしたことを申し訳なく思う」と謝罪し、再生への決意を示した。だが、名誉会長としてどれだけ距離を置けるか――それがニデック再生の本当の試金石になるだろう。
この事件は、日本企業のガバナンス課題を象徴する。カリスマ創業者の功罪が、半世紀の成長神話を揺るがせている。2026年の第三者委員会報告が、ニデックの未来を決めるだろう。
※本記事は2025年12月19日時点の公開情報に基づいています。最新の状況はニデック公式IRサイトや信頼できる報道でご確認ください。






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