スキマバイトの光と影：メルカリ「ハロ」終了とリクルートの開発断念が示す市場の現実

こんにちは、皆さん。今日のブログでは、HRテック業界を揺るがす最新ニュースに焦点を当てます。2025年10月14日、メルカリがスキマバイトサービス「メルカリハロ」の提供を12月18日で終了すると発表しました。開始からわずか1年9カ月での撤退です。一方、今年3月には求人業界大手のリクルートが、スポットワーク特化の新サービス「タウンワークスキマ（仮称）」の開発を正式に中止。両社の動きから見えるスキマバイト市場の厳しい現実を、背景とともに深掘りします。

メルカリ「ハロ」の急成長と突然の幕引き

「メルカリハロ」は、2024年3月にスタートしたサービスで、メルカリの約2,200万人のユーザー基盤を活用したスキマバイトプラットフォームとして注目を集めました。履歴書不要、最短1時間から働ける手軽さが特徴で、首都圏限定で始まったものの、2025年6月には登録者数が1,200万人を突破。物価高騰や「103万円の壁」撤廃による副業ブームの追い風もあり、急速に拡大していました。

しかし、終了の理由は公式に「市場環境の変化やサービスの利用状況を踏まえた総合的な判断」とされています。具体的な背景としては、以下の点が考えられます。

競合との差別化の難しさ：スキマバイト市場は、タイミー（Timee）が圧倒的なシェアを誇り、2025年3月に東証グロース市場に上場するなど業界をリード。メルカリはユーザー獲得に成功したものの、求人企業側の開拓やマッチング効率で後れを取った可能性があります。
収益性の課題：登録者数は急増したものの、実際のマッチング率やリピート利用が期待を下回り、収益化が遅れていました。メルカリの決算資料でも、「ハロ」の貢献度は限定的で、本業のCtoCマーケットプレイスやメルペイにリソースを集中する戦略転換が伺えます。
ユーザー体験の問題：2025年8月のポリシー改定でキャンセル問題が注目され、ユーザー離れを招いた可能性も指摘されています。

リクルートの「タウンワークスキマ」開発中止：大手も躓く理由

一方、リクルートは2025年3月24日、2024年秋の開始を目指していた「タウンワークスキマ（仮称）」の開発中止を発表しました。リクルートは2024年5月にこのプロジェクトを公表し、伝統的な求人メディア「タウンワーク」のブランドを活用して単発・短時間バイト市場に参入する計画でした。しかし、わずか10カ月での断念。公式には「開発優先順位の変更」とSBU（Strategic Business Unit）ガバナンスの見直しが理由とされています。

背景には、以下のような市場の現実があります。

タイミーの先行者優位：タイミーのアプリ中心のユーザー体験やマッチング精度は高く、後発のリクルートが差別化を図るのは困難でした。市場の「勝者総取り」傾向が強まっています。
投資回収のハードル：スポットワーク市場は成長中ですが、初期投資が大きく、収益化までの期間が長い。リクルートはIndeedやリクナビなど既存事業の強化を優先した模様です。
市場の成熟化：単発バイトの需要は安定しているものの、求人の質のばらつきやキャンセル問題が課題となり、新規参入の障壁が高まっています。