個人投資家が損した銘柄ランキング2025|メタプラネットとオルツの共通点

投資・マーケット

去年と同じことをやって、また同じ場所で転んだ。それが2025年の個人投資家市場を一言で表すとしたら、たぶんそういうことになる。

2025年のクソ株オブザイヤー(X上での年末恒例投票企画)、1位はメタプラネット(36票)、2位はオルツ(33票)。2024年の1位オリエンタルランド、2位日産とは顔ぶれがまるで違う。大企業神話で負けた年から、テーマバブルで負けた年へ。でも負けた理由を掘り下げると、やっぱり同じ場所に着地するのが怖いところだ。

4月にはトランプ相互関税ショックで日経平均が7.83%の歴史的急落を記録し、個人投資家の含み損が一瞬で膨らむイベントもあった。2025年の相場は荒れた年で、荒れた年ほど負けた人の声が大きくなる。今年も5銘柄を並べて、何が起きていたのかを見ていく。

2025年版・個人投資家の負けパターン

「テーマに乗った」型──メタプラネット(ビットコイン)

「AIだから信じた」型──オルツ(上場廃止)

「神話が崩れていると知らなかった」型──オリエンタルランド(2年連続)

「暴落を好機と読み逆張りした」型──トランプ関税ショック

第1位:メタプラネット(3350)の株価はなぜ暴落したのか──ビットコイン信仰と株式希薄化の罠

2024年4月時点で20円だった株価が、2025年6月には1,930円に達した。約1年で100倍近い上昇。ビットコインを大量に購入する「ビットコイントレジャリー戦略」を採用した企業として、日本版MicroStrategyと呼ばれ注目を集めた。時価総額は一時1兆円に迫った。

その後が本題だ。2025年後半、株価は最安値338円まで叩き売られた。高値からの下落率は約80%。東洋経済の見出しには「熱狂から悲観へ、最初の試練」とある。2025年末のクソ株オブザイヤーで36票を集めてトップに輝いた。

問題の核心はmNAV(企業価値÷保有ビットコイン価値)という指標だ。これが1倍を下回ると「会社を清算してビットコインを直接売却した方が株主にとって有利」な状態を意味する。実際、一時は0.9倍まで低下した。ビットコインを買いたいなら現物を持てばいいだけで、メタプラネット株を買う理由がなくなる水準だ。

さらに問題なのは継続的な株式希薄化だ。21万BTCという保有目標を達成するために新株予約権を繰り返し発行し、既存株主の持ち分が薄まり続ける。ビットコインが上がっても、発行済み株式数も増え続ける。メタプラネット株でビットコインに乗ったつもりが、ビットコインの値上がりを新株発行コストが食い続ける構造だった。mNAVの概念すら知らずに買った個人が多かっただろうという点は、正直なところそう思う。

なお同社の2025年通期は、ビットコイン評価損1,046億円で766億円の最終赤字見込みとなっている(要出典確認・最新情報要確認)。本業のホテル事業はコロナ禍で縮小しており、ビットコインなしには何も残らない企業構造だ。

第2位:オルツ(8595)上場廃止の理由──売上の9割が架空という上場ゴールの極北

2024年10月に東証グロース市場に上場し、同年12月に高値823円をつけたAI議事録企業オルツ。2025年4月25日、主力の「AI GIJIROKU」の売上に大規模な架空計上が疑われると突然発表された。翌28日から連日ストップ安。5月1日には一時105円まで売られた。内部告発によれば「売上の95%近くが架空だった可能性」とまで言われている。「循環取引」と呼ばれる手法で、実態のない取引を帳簿上に積み上げていた疑いだ。

7月30日に東証が正式に上場廃止を決定し、8月31日に退場。最終株価は5円。12月に823円で買っていた人は元本の43分の1しか回収できない。個人株主約90人が損害賠償請求を準備中で、請求総額は約4億円に達する見込みとも報じられている(要出典確認)。

なおの視点

上場時から虚偽だった可能性が高い企業が、東証の審査を通過してIPOできた。そちらの方が本質的には問題かもしれない。「AIだから」という理由だけで買われた構造は、2024年の「NTTだから」「ディズニーだから」と根っこが同じだ。ラベルが変わっただけで、思考が止まるポイントは移動していない。

第3位:オリエンタルランド(4661)株価下落の理由──2年連続、PER神話と成長鈍化の交差点

2024年のクソ株オブザイヤー1位が、2025年も3位に食い込んだ。2024年の高値5,765円から2026年4月には2,188円まで下落し、下落率は約62%に達した(要出典確認)。売上は過去最高を更新しているのに株価は半値以下、という状況が2年続いている。

なぜ好業績で売られ続けるのか。核心はPERだ。コロナ後のリベンジ消費が追い風だった時期、オリエンタルランドはPER60〜70倍水準でも買われていた。ディズニーという独自のブランド力と、入場者単価の継続的な上昇が「まだ伸びる」という成長期待を支えていたからだ。ところがリベンジ消費は2024〜2025年にかけて完全に一巡した。人件費・設備投資のコスト増が続く一方で、需要の天井が見え始めた。「成長鈍化」を市場が織り込み始めると、PER60倍という水準がいかに割高かが逆照射される。

さらに需給面の圧力も重なった。筆頭株主の京成電鉄はアクティビストの要求を受けて保有株を段階的に売却し続けており、第3位株主の三井不動産にも米ファンドから売却要求が出ている。個人が配当目当てや優待目当てで長期保有しているそばで、大株主が出口を探している構図だ。2026年4月には来期業績予想が市場予想を下回り、翌日10%超の急落を演じた。

「ディズニーは長期で持てばいい」という信念でホールドしている個人は今もいると思う。それが最終的に正解になる可能性を否定はしない。ただ「PERが許容される根拠」が変わった後も同じ水準を期待するのは、別の話だという認識が必要だ。

番外:トランプ関税ショックで個人が踏んだ「逆張り」の罠

2025年4月7日、日経平均は前日比2,644円(7.83%)の急落を記録した。松井証券の試算では「535万年に1度」レベルの暴落確率という。この暴落局面で何が起きたかというと、野村証券のNISA口座では三菱UFJ、NTT、トヨタが大量に買われていた。逆張り買いが殺到したわけだ。

その後の相場は90日関税停止の発表で急反発したが、問題はその前後の乱高下で損をした人だ。急落→反発を「底だ」と判断して飛び込み、さらに下がって損切りしたパターン。あるいは反発局面で「戻した」と思って買い増し、その後また下げて含み損が膨らんだパターン。イベントドリブンの相場では、個人が動けるタイミングはほぼ常に遅い。

ちなみに関税ショック後の下落局面で国内投資信託は売り越しに動いていた。個人が「買い場だ」と突っ込む中、プロは売っていた。「個人の逆張りが必ずしも正解ではない」というのは、このデータが雄弁に語っている。

2025年が示した新しいパターン──「テーマ株バブルの個人退場」

このランキングを俯瞰すると、2025年のキャラクターが見えてくる。2024年は大企業の神話が崩れた年だった。NTTは「国策銘柄だから安心」で買われ、オリエンタルランドは「ディズニーだから下がらない」で買われた。間違えたのは企業選択より、信仰の対象だった。

2025年は違う構造だ。メタプラネットは「ビットコインというテーマ」で買われた。オルツは「AIというテーマ」で買われた。企業の実態よりもテーマが先にあって、テーマが熱いうちに乗れれば勝ち、乗り遅れたら負けという投機的な文脈になっていた。

2024年 vs 2025年 負けパターンの変化

2024年:大企業神話依存型
「NTT・オリエンタルランド・日産なら安心」という思い込みで参入。企業ブランドへの信頼が判断を曇らせた。

2025年:テーマバブル便乗型
「ビットコイン」「AI」というキーワードが判断を停止させた。企業の実態や財務構造を見る前にテーマで買った。損をした理由の核心は同じで、「なぜその株価なのか」を自分の言葉で説明できなかった。

個人投資家としての処方箋──2025年版

「そのテーマが冷めた後に、この企業に何が残るか」を必ず問う。メタプラネットはビットコインが暴落したら何が残るか。オルツはAI議事録の競合が増えたら何が残るか。テーマ株投資で生き残る人は、この問いに答えられる人だけだ、という気がしている。

もう一つ付け加えるなら、IPO直後の新興企業への参入は特に慎重であるべきだ。上場前後は流通株式数が少なく需給が歪みやすい。VCや創業者の売り圧力が続く。業績の追跡可能な期間が短く、粉飾が発覚しにくい。オルツはその典型だった。

「東証プライムに上場している」「決算黒字」「成長テーマに合致」の3点が揃っていても、それだけでは根拠として弱い。2025年のランキングがそれを証明している。

ランキングを見ていて気づくこと──2024年との対比

2024年のランキングを書いたとき、「銘柄は毎年変わるが、損をした理由は変わらない」と書いた。2025年のランキングを眺めながら、その感覚が改めて確かめられた気がしている。

メタプラネットで負けた人とNTTで負けた人は、表面的には違う銘柄を買っているが、買った理由の質は驚くほど似ている。「みんなが話している」「テーマが熱い」「下がったら長期で持てばいい」。オルツで退場した人とサンウェルズで損した人も、「成長ストーリーを信じて検証しなかった」という点では同じだ。

2026年のクソ株オブザイヤーには、また別の名前が並ぶだろう。次は何が来るか正直わからない。ただ「来年は自分じゃない」と思っている人ほど、危ないかもしれない。そういう意識でいるから、あの銘柄を掴んでしまう、ということは長く相場を見ていると何度も見てきた。

※本記事は特定銘柄の投資推奨・売却推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。記事中のデータは各種報道および企業IR資料に基づいていますが、正確性を保証するものではありません。最新情報は各企業のIRページ等で必ずご確認ください。

── まだ読み足りないなら ──

カテゴリから読み解く個人投資家が負ける構造

読み込み中...
読み込み中...
読み込み中...
タイトルとURLをコピーしました