私はこの会社の株主だ。
そしてXで批判的な意見を投稿したところ、加藤公一レオ前社長本人にブロックされた。
本日2026年3月13日、売れるネット広告社グループ(証券コード:9235)の第2四半期決算が発表された。株主として数字を読む。
・売上高:7.33億円(前年比▲9.1%)
・営業損失:▲8,638万円(前年▲1.3億円から損失縮小)
・純損失:▲9,115万円(前年▲3.9億円から大幅改善)
・自己資本比率:33.7%
・通期純利益予想:わずか200万円(変更なし)
なお、代表取締役社長CEOは植木原宗平氏に交代している。
「大幅改善」に見えるが、前年の▲3.9億円には減損損失2.56億円という一時的な特別損失が含まれていた。それを除くと実力ベースの改善幅は小さい。通期純利益200万円という予想は、現在の時価総額と比較して割高感が解消されていない水準だ。
そしてこの株価は、高値3,400円から現在588円へ——▲82.7%下落している。
株主として見た株価の全体像
・公募価格:910円
・上場初値(2023/10/23):837円(公募比▲8%)——上場初日から公募割れ
・期間高値:3,400円(2024/02/22)
・2024年2月:515円→3,400円へ約1ヶ月で6.6倍に急騰
・その後:2,175円→1,325円→612円と崩落
・2025年4〜6月:363円から2,015円へ再急騰
・2025年6月以降:再び崩落、2026年3月12日終値588円
・高値比:▲82.7% / 公募比:▲35.4%
上場から2年半で「急騰→崩落」を2回繰り返している。この繰り返しパターン自体が、この銘柄の本質を語っている。
2024年2月:6.6倍急騰と即崩落
最初の急騰は2024年2月だ。515円から始まり、わずか3週間で3,400円まで駆け上がった。出来高は2月1日に237万株と異常な水準に膨らんでいる。
2/1:515円(出来高237万株・急騰開始)
2/8:1,402円(+172%)
2/21:3,045円(+500円・最大上昇日)
2/22:3,400円(期間最高値)
2/26:2,550円(▲360円・急落開始)
2/27:2,175円(▲375円・最大下落日)
↓
5月10日:1,325円(高値から▲61%)
高値から3ヶ月で6割消えた。
この急騰に明確な業績改善の裏付けはなかった。出来高の動きを見ると「需給が先行して動き、後から個人が追いかけた」パターンそのものだ。
2025年4〜6月:二度目の急騰とSNS
2025年4月、株価は363円まで沈んでいた。そこから再び急騰が始まる。4月17日から6月にかけて363円→2,015円へ。約5.5倍の上昇だ。
上場企業の経営者がSNSで事業の展望や「重要なお知らせ」を予告すると、期待から買いが入る。しかし発表内容が期待に届かなければ、即座に売りに転じる。
2025年4月12日、当時の加藤公一レオ社長はXに「SNS投稿をしばらく控えます」と投稿した。自粛期間は翌朝7時30分までだった。この一連の動きが株価と連動して話題になった。
そして同氏は、批判的な意見を投稿した株主をブロックしている。自社の問題点を指摘する声を遮断しながら、自分の発信だけを続ける——これが「SNSで株主と対話している」と言えるかどうか、株主として疑問を持つのは当然だ。
「広告のプロ」の逆説
加藤公一レオ前社長は「レスポンスの魔術師」と呼ばれる広告のプロだ。D2C広告の費用対効果を最大化するコンサルティングで実績を積み上げてきた。
しかし株式市場という「レスポンス」の場では、その手法が機能しなかった。
広告のターゲット:商品を買うかどうか迷っている消費者。感情に訴えるコピーが効く。
株式市場のターゲット:損得で動く機関投資家と個人投資家。期待を煽る発言は「材料出尽くし」として即座に売りに変わる。
結果:SNSで「重要なお知らせ」を予告するたびに期待買いが入り、発表後に失望売りが出るパターンが繰り返された。消費者向け広告のロジックを株式市場に持ち込んだことの、当然の帰結だ。
2回の急騰が示す需給主導の構造
① 株価が低迷→出来高が突然膨らむ
② SNS・掲示板で話題化→短期資金が流入
③ 株価が数倍に急騰→社長のSNS投稿が活発化
④ 材料出尽くし・期待外れ→急落
⑤ 長期保有組が含み損を抱えて沈黙
業績が変わっていないのに株価が数倍になり、数ヶ月で元に戻る。これは「事業価値の再評価」ではなく「需給と話題性が先行した価格形成」だ。
今日の決算を株主として読む
本日の決算で本業(マーケティング支援事業)はようやくセグメント利益1,300万円の黒字に転換した。これは評価できる。
① コマース事業の急減収
主力商品シートマスク「KogaO+」の売上が前年比▲66.3%に激減。SNSアルゴリズム変更の影響とされているが、D2C広告のプロを自称する会社がSNSアルゴリズムに振り回されているのは皮肉だ。
② 通期純利益200万円という水準
時価総額約45億円(588円×770万株)に対して通期純利益予想200万円。PERは2,250倍の計算になる。事業の成長性をどう評価するかという問題だが、現時点では割高感が解消されていない。
③ ビットコイン・セイヴァーという新事業
暗号資産の復旧・保全支援サービス。本業のD2C広告コンサルティングとの関連性が見えにくい。事業多角化の方向性として株主として注視している。
株主からの提案
社長が植木原宗平氏に交代したことで、SNS発信主導の株価形成という構造は変わる可能性がある。それ自体は歓迎だ。
① IRの質を上げて機関投資家の長期保有を引き込む
話題性ではなく業績で株価を支える構造に変えることが、高値▲82%という現実を変える唯一の道だ。
② コマース事業の立て直しを明確に示す
▲66%減収は看過できない数字だ。TikTok Shopへの転換という方向性は示されているが、具体的な回復シナリオを株主に説明してほしい。
③ 批判的な意見を遮断しない文化を作る
株主の批判的な声は、会社の弱点を無償で教えてくれる情報だ。新体制ではその声に耳を傾ける姿勢を見せてほしい。
本日の決算で損失は縮小したが、通期純利益200万円・コマース事業▲66%減収という数字は手放しで評価できない。高値から▲82.7%という株価の現実は、SNS発信主導の需給形成が生み出した構造の結果だ。社長交代で体制は変わった。あとは数字が変わるかどうかだ——株主として見続ける。
