正直、この銘柄のチャートを覚えている人は多いと思う。ベトナムのVSUN Solarを傘下に収めてから売上が数年で数十倍に膨らみ、GX(グリーントランスフォーメーション)の看板を背負って、個人投資家の間でテンバガー候補として語られていた時期があった。あの熱量を知っている身からすると、今回のニュースはやっぱり重い。
監理銘柄(審査中)指定の中身
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 銘柄 | Abalance株式会社(コード:3856、東証スタンダード市場) |
| 指定日 | 2026年7月31日(金) |
| 指定期間 | 東証が上場廃止基準に該当するかどうかを認定する日まで(終期は未定) |
| 理由・根拠条項 | 内部管理体制等が適切に整備・運用される見込みがなくなったと認められるおそれ(有価証券上場規程施行規則第604条第1項第12号、有価証券上場規程第601号第1項第9号b) |
監理銘柄というのは「上場廃止になるかもしれない銘柄」というだけで、まだ廃止が決まったわけじゃない。ここは冷静に見ておきたい。ただ、東証がわざわざ審査に踏み込んだという事実そのものが、それなりに重い。
人気だった頃の話をしておく
Abalanceはもともと2000年設立のナレッジマネジメントソフト企業だった。それが2011年の株式交換を経て太陽光パネル製造・太陽光発電システムの企画開発へと事業転換し、ホールディングカンパニーとして子会社群を束ねる形に変わっていった。2014年に1株を100株に、2022年には1株を3株に分割している。個人投資家に買いやすい株にしていく過程が、そこにははっきり見える。
転機はベトナムの太陽光パネル大手VSUN Solarを傘下に収めたことだった。2023年6月期の決算では連結売上高が前期比2.4倍の2,174億円、経常利益は9.8倍の148億円という、率直に言ってちょっと異常な伸び方をしている。年度当初予算比でも売上1.98倍、経常利益5.30倍。3期連続の増収増益という数字を見せられたら、飛びつく人が出るのは当然だと思う。
太陽光関連株への期待が再び高まる中、Abalanceはその中心銘柄の一つとして注目を集めていた。急成長の裏で財務リスクやガバナンスを懸念する声も、一部では上がっていた。伸びている数字の前ではあまり大きな声にはならなかった印象があるけれど、ここは自分の記憶と当時の記事を照らし合わせても、そう外れていないと思う。
「誤謬」から「粉飾」への書き換え
同社は2022年6月期第1四半期から2024年6月期第1四半期に関する有価証券報告書などについて、2024年3月14日付で訂正報告書を提出していた。この時点では監査等委員会が「誤謬」という評価を出している。うっかりミス、というニュアンスの言葉だ。
ところが2025年12月17日、外部専門家で構成される第三者委員会が調査結果報告書を公表し、この評価がひっくり返った。連結子会社WWBが手がけていた複数の太陽光発電所建設案件における有償支給取引について、本来収益認識すべきでないものを不適切に売上計上・売上原価計上していたと認定。そのうえで「明確に意図的かつ組織的に行われた不正な会計処理(粉飾)であったと評価するのが妥当」という、かなり踏み込んだ結論を出している。(出典:松井証券マーケット情報)
なぜ「審査中」まで踏み込まれたのか
2026年1月31日、Abalanceは特別注意銘柄に指定された。そこから同社は2月27日に改善計画の策定方針を開示、3月4日には第三者委員会・検証委員会の提言に沿って再発防止に努める旨を開示している。3月10日には元代表取締役会長兼CEOが代表権を返上し、暫定的に取締役として留任するという経営体制の見直しを発表した。ここまでは、まあ想定される流れだったと思う。
ただ、4月30日に改善計画の策定を延期。7月下旬までに特別注意銘柄解除に向けた改善計画をまとめる意向を示していたものの、いざ7月31日に開示された改善計画の中身は、少なくとも東証の評価としては十分ではなかった。
問題の核心はここにある。検証委員会が提言していたのは「元代表取締役会長兼CEOに事実上の権限が集中した体制からの脱却」と、その実現手段としての「国内部門と海外部門を切り離すための会社分割などの措置」だった。同社は外部専門家を交えてこれを検討したものの、結局「実施困難」という結論に至っている。(出典:不景気.com)
次に見るべきポイント
監理銘柄(審査中)の指定期間には明確な終期が示されていない。「東証が上場廃止基準に該当するかどうかを認定した日まで」としか書かれていないので、現時点では審査終了時期は公表されていない。ここは変に期待値を作らず、続報を待つしかない。
・東証「監理・整理銘柄指定状況」ページで指定解除・上場廃止の判断を確認する
・改善計画の具体的な内容(海外子会社の情報管理体制の詳細)が別途開示されるかどうか
正直、この銘柄をまだ保有している人にとっては胃が痛い展開だと思う。でも「上場廃止=即決定」ではなく、あくまで審査に入った段階だということは、冷静に押さえておいたほうがいい。人気テーマ株がどう転落していくかの一部始終を、今まさに見せられている。そういう記録として、この件はしばらく追いかけていきたい。
・日本取引所グループ「監理銘柄(審査中)の指定:Abalance(株)」2026年7月31日
https://www.jpx.co.jp/news/1023/20260731-12.html
・松井証券マーケット情報「AバランスがS安ウリ気配、第三者委員会が『粉飾であったと評価するのが妥当』と報告」2025年12月18日
https://finance.matsui.co.jp/news/525932/index
・不景気.com「Abalanceを監理銘柄(審査中)に指定、内部管理体制不備で」2026年7月31日
https://www.fukeiki.com/2026/07/abalance-caution2.html
・ログミーファイナンス「Abalance(3856)2023年6月期決算説明」
https://finance.logmi.jp/articles/378531
・QUICK Money World「Abalance(3856) 第三者委員会の調査結果報告書公表に関するお知らせ」2025年12月17日

