【abc(8783)決算】3Qまで黒字→通期経常▲65億。たった3ヶ月で自己資本の9割が消えた“悪決算”の中身

投資・マーケット

短信のPDFを開いて、売上でも利益でもなく真っ先に「自己資本比率」の欄を探してしまったのは、7月の第3四半期の時点で64.2%もあったこの数字がどうなっているのか、うすうす嫌な予感がしていたからだと思う。

結果は6.5%だった。

abc株式会社(8783・東証スタンダード)が10月15日に発表した2026年8月期の本決算。第3四半期(2025年9月〜2026年5月)までの累計では経常利益6億5,700万円の黒字だったのに、通期で締めてみたら経常損失65億8,000万円になっていた。単純に引き算すると、6月から8月までのたった3ヶ月で、経常ベースで72億円以上のマイナスが出たことになる。時価総額が20億円台の会社で、だ。

同じ日に、連結と個別それぞれの業績差異のお知らせ、さらにWOWOO社との業務委託契約の締結まで出てきて、4本まとめて読み終えたあとしばらく頭の整理がつかなかった。今回はそれを、決算書にあまり慣れていない人にも伝わるように、なるべくほどいてみる。きれいに整理しきれる自信はあまりないけど。

この記事の前提

数値は2026年10月15日公表の決算短信・適時開示資料から引用(百万円未満切り捨て)。株価は10月13日終値43円(株予報)。決算短信は監査法人の監査対象外の数字で、有価証券報告書は11月27日提出予定。いずれも最新情報要確認。

先にこれだけ:決算書の「利益」は4段階ある

  • 売上高:商品やサービスで入ってきたお金の合計
  • 営業利益:本業で稼いだ利益(売上から原価や人件費・広告費などを引いたもの)
  • 経常利益:営業利益に、利息や投資の損益など本業以外の損益を足し引きしたもの。abcの場合、暗号資産の売買損益がここに入る
  • 純利益:経常利益に一時的な特別損益を加え、税金を引いた最終的な利益。株主の取り分になる

① 総合判定:悪決算

悪決算
迷う余地はほとんどない。ただ「何がどう悪いのか」は一枚岩じゃなくて、暗号資産・本業・財務の3つの層に分かれている。
項目今期実績今期予想
(7/15修正)
3Q累計
(9〜5月)
前期
(5ヶ月決算)
売上高2,6032,2221,7261,109
営業利益△3,088△2,143△1,884△922
経常利益△6,580未定657781
純利益(親会社株主帰属)△7,816未定934526
自己資本比率6.5%―64.2%47.5%
1株当たり純資産6円59銭――148円00銭
単位:百万円(比率・1株数値を除く)。出典:決算短信、連結業績差異のお知らせ、第3四半期決算短信

本当は前年同期比で並べたいところなんだけど、ここがちょっと厄介で。abcは2025年に決算期を3月末から8月末に変えていて、前期(2025年8月期)は4月〜8月の5ヶ月しかない変則決算になっている。会社自身も前期比の増減率は「記載なし」だ。

推測ですが、前期の売上11億900万円を単純に12ヶ月へ引き伸ばすと約26.6億円になる。今期の26.0億円はそれとほぼ同じか、むしろ少し下。季節性を無視したかなり乱暴な計算なので話半分で聞いてほしいけど、「売上が伸びた年」ではなかった、という感触くらいは持っておいていいと思う。

② 判定の理由:重要な3つのポイント

ポイント1:「3Qまで黒字」は、最後の3ヶ月で跡形もなく消えた

この1年のabcの経常利益を順に追うと、第1四半期が37億5,500万円の黒字、中間期の累計で31億1,100万円、第3四半期の累計で6億5,700万円、そして通期で△65億8,000万円。四半期ごとにじりじり削れていって、最後に崖から落ちた形になっている。

最大の原因は暗号資産だ(貸倒引当金や優待ポイントの引当金も効いているので、これだけで全部が説明できるわけではないけど)。会社は7月6日に暗号資産ディーリング事業からの全面撤退を決め、8月末までに保有分をすべて処分したんだけど、その中身の多くが「活発な市場が存在しない」トークンだった。前期末の内訳を見ると、WWBというトークンが約14.7億円、NYANが約5.9億円、Z2COINが約5.6億円。名前を聞いてピンとくる人が、どれくらいいるだろう。

買い手の薄い市場でまとめて売ろうとすれば値段は崩れるわけで、結果は暗号資産売却損7億4,400万円と評価損19億6,200万円。合わせて27億円近い損失が営業外費用に乗り、そこへ株主優待ポイントの引当金4億5,600万円も加わった。

用語メモ|評価損:持っている資産の値段が、帳簿に載せていた金額より下がったときに計上する損失。まだ売っていなくても損として扱う。逆に、1Qの大幅黒字はこうした資産の値上がりや売却益に大きく支えられていた。

第1四半期の1株利益は103円40銭もあった。あの数字だけを見て飛びついた人がいたとしたら……と考えると、ちょっと胃が重くなる。評価益は会計上ちゃんと利益として計上される。ただ、その値段で本当に売れるかどうかは別の問題で、市場に買い手がいなければ帳簿上の利益は簡単に消えてしまう。教科書に書いてあるような話ではあるんだけど、ここまで露骨に数字に出るケースはそう多くない。

ポイント2:本業の赤字も、7月の予想よりさらに9億円以上悪化した

暗号資産だけの話なら、「事業を畳んだ一回限りの損」と割り切る余地もあったかもしれない。引っかかったのは本業のほうで、営業損失は7月15日に修正した予想の△21億4,300万円に対して、実績は△30億8,800万円。9億4,500万円も悪い。

主な原因は、投融資事業で積んだ貸倒引当金8億8,100万円。いろいろな事業会社にお金を貸してきたものの、改めて全体を見直したら「これは返ってこないかもしれない」という分が膨らんでいた、という話だ。貸借対照表を眺めると、長期営業債権25億900万円には同額の貸倒引当金が積まれていて、帳簿上はほぼゼロ評価になっている。流動資産側の営業貸付金20億円の隣にも、13億8,500万円の引当金が並ぶ(他の債権分も含む)。お金を貸すことが本業のひとつの会社で、この比率はかなり重い。

用語メモ|貸倒引当金:貸したお金や売掛金が戻ってこない可能性に備え、あらかじめ損失として見積もっておくお金。積み増すとその分が費用になる。

売上は予想を17.1%上回っているけど、これも素直には喜べない。サイバーセキュリティ子会社の売却日が8月31日までずれ込み、1年分まるごと連結に入ったから上振れした、と会社自身が説明しているからだ。しかもそのサイバー事業(売上9億8,100万円、セグメント利益9,000万円)は、6つあった事業の中で唯一の黒字部門だった。残った金融サービス・空間プロデュース・ヘルスケア・Web3は、どれもセグメント赤字のままだ。

ポイント3:自己資本は1年で9割超が消え、「継続企業の前提」に注記がついた

個人的に一番効いたのはここ。株主の取り分と言える自己資本は、期首の42億8,500万円から期末は3億2,800万円へ、マイナス92%。純資産で見ても、第3四半期末の86億3,000万円が3ヶ月後には10億9,000万円まで縮んでいる。

手元の現金は2億9,500万円しかないのに、短期借入金は26億1,400万円ある。営業活動によるキャッシュフローは△31億7,600万円で、資金繰りを支えたのは新株発行による16億9,000万円と借入。自力で回っている状態とは、とても言えない。

決算短信には「継続企業の前提に関する重要な不確実性」の注記も入った。5月に監査法人が辞任し、8月に同じ監査法人を一時会計監査人として選び直すまで監査人不在の期間があったこと、それで株価が下がり新株予約権での資金調達が想定どおり進まなかったことが、理由として書かれている。

用語メモ|継続企業の前提(GC注記):「この会社が今後もふつうに事業を続けられるかに重要な疑義がある」と会社自身が認める記載。投資する側にとっては最大級の警告サイン。

もうひとつ、地味だけど見落としてほしくない数字がある。1株当たり純資産(BPS)で、前期末の148円00銭が今期末は6円59銭になった。決算前、株予報の画面ではBPS208円を基準にPBR0.21倍と表示されていて(推測ですが、第3四半期末の純資産がベースだったのだと思う)、数字だけ見れば「純資産から見て激安」の部類に入っていた。ところが今回判明した期末BPSはわずか6円59銭で、株価43円ならPBRは約6.5倍になる。割安に見えていた数字の前提が、一気に崩れたわけだ。スクリーニングで「PBR0.2倍台の割安株」として拾っていた人ほど、今日の短信はまるで違う景色に見えるはず。

用語メモ|BPS・PBR:BPSは1株あたりの純資産。PBRは「株価がBPSの何倍か」で、1倍を下回ると“解散価値より安い”と言われる。ただ、分母のBPSが急に減ればPBRは一気に跳ね上がる。
数字の“見た目”と実態のズレは、偶然生まれるものじゃないのかもしれない。割安に見える銘柄の出口で、誰が待っているのか。構造の話はこちらに書いた。
→ 機関投資家から見た『個人』は、ただの『出口戦略用のゴミ箱』でしかない

③ 今後の見通し:会社予想は「強気」

2027年8月期 会社予想金額前期比
売上高2,582△0.7%
営業利益△268赤字縮小(前期△3,088)
経常利益242黒字転換(前期△6,580)
純利益(親会社株主帰属)△55赤字縮小(前期△7,816)
1株当たり純利益△1円03銭―
年間配当0円無配継続
単位:百万円。出典:2026年8月期決算短信

パッと見は「売上ほぼ横ばい、赤字は大幅縮小、経常はかろうじて黒字」という、むしろ地味な計画に映る。最初はぼくも弱気寄りかなと思ったんだけど、短信の後ろのほうと同日開示を読み込むほど印象がひっくり返っていって、今はかなり強気な数字だと見ている。

まず売上の中身。前期の売上には、売却した2社(サイバーセキュリティとゲーム)の分が合計12億6,500万円含まれている。これが丸ごと消えるのに来期も前期並みの25.8億円を見込むということは、残った事業だけで13.4億円→25.8億円、ほぼ2倍にする計画だということ。会社も短信の中で「約2倍の水準」と自分で書いている。その柱が、AIとブロックチェーンを使った法人向けシステム「ZEKUU(是空)」、株主優待ポイントの利用サービス「優待のいずみ」、ヒューマノイドロボット「Galbot G1」を使った事業、そしてWOWOOエコシステム関連で、ほとんどがこれから立ち上がるものばかり。会社自身も、下期に見込む収益は契約時期や進捗によって変動しうると注意書きを入れている。

次に、同じ日に発表されたWOWOO社との業務委託契約。来期予想にはこの契約による売上1億5,000万円が織り込まれているんだけど、対価の決まり方を読んで、正直しばらく手が止まった。WOWOO社が発行するトークンの市場価格が、契約時の基準価格やそれまでの最高値を上回ったときだけ、上回った分に応じて報酬が出る仕組みになっている。契約自体は10月15日に締結・発効しているものの、報酬の算定・支払に関する条項は会計監査人の確認待ちで、まだ効力が生じていない。対価も本日時点ではゼロで、それでいて1億5,000万円はもう来期の売上に入っている、ということになる。WOWOO社は資本金1シンガポールドル、直近期の売上はゼロで、abc株の7.58%と新株予約権8万個を持つ大株主でもある。

暗号資産から撤退しました、と言ったその同じ日に、トークン価格に連動する報酬契約が出てくる。受け取りは日本円だから暗号資産の売買には当たらない、という整理なのは理解できるし、理解はできるんだけど、収益の源泉がトークンの値動きであることに変わりはない。ここは正直、不気味だと思っている。

最後に経常黒字のからくり。営業段階では2.7億円の赤字を見込みながら経常で2.4億円の黒字になるのは、保有する有価証券の売却益を営業外収益に見込んでいるからで、その金額は明示されていない。減損などの特別損益は「織り込んでいない」ともわざわざ書いてある。今期12億8,000万円の減損を出したばかりの会社が、だ。

通期予想に対する進捗率は、新しい期が9月に始まったばかりなので現時点では該当なし。参考までに今期を振り返ると、第3四半期時点の売上進捗率は77.7%で、最終的には予想を17%上回った。売上だけなら“達成”なのに、利益は予想を大きく割り込んでいる。会社予想を額面どおりに受け取るかどうかは、この実績も込みで考えたほうがいいと思う。

④ 注目ポイント

一番のポジティブ:巨額損失を生んだ暗号資産ディーリングからは手を引いた

悪いことばかり書いてきたけど、ひとつだけ前向きに評価したいのは、暗号資産ディーリングから完全に手を引いたこと。前期は暗号資産売却益16億3,100万円で経常黒字、今期1Qは評価益で大幅黒字、そして期末には27億円近い損失。業績が会社のコントロールの外で乱高下していた最大の原因は、ひとまず消えた。もっとも、業績悪化の原因がすべてなくなったわけではなくて、貸倒引当金や優待ポイントの引当金、のれん償却といった重しはまだ残っている。

あわせて、松田元社長と副社長が11月30日の株主総会で退任する予定になっていて、経理体制の強化や外部専門家への委託も進めているという。前年同期比で見れば最悪の部類の数字だけど、「ブレの源を断って体制ごと入れ替える」という方向性だけは、たぶん間違っていない。宿泊施設がインバウンド需要で伸びているのも、小さいけど確かな明るい材料だ。

一番のネガティブ:止まらない希薄化で、株主の取り分が薄まり続けている

発行済株式数は前期末の2,906万株から、今期末は4,994万株。1年で約72%増だ。9月に入ってからも、新株予約権の行使で270万株、子会社化のための株式交付で約76万株が新たに発行されている。

さらに第20回新株予約権の未行使分が15万800個、株数にして1,508万株分残っている。これは行使価額修正条項付き、いわゆるMSワラントで、株価が下がれば行使価格も下がっていく設計だ。7月の発行時の当初行使価額は1株92円だったのに、期末後に行使された分は調達額から逆算すると1株あたり約46円(1億2,420万円÷270万株)。10月9日には、このうち7万個(700万株分)が総額わずか350万円、1個50円で別の会社に譲渡されている。

用語メモ|MSワラント・希薄化:MSワラントは、株価に合わせて行使価格が修正される新株予約権。会社は資金を集めやすい反面、引き受けた側は受け取った株をすぐ市場で売ることが多く、株価の重しになりやすい。株数が増えて1株あたりの価値が薄まることを「希薄化」という。

来期予想の1株当たり純損失は1円03銭。数字としては小さく見えるけど、分母の株数はこれからも増える前提だし、自己資本はたった3億円台しかない。営業キャッシュフローを改善できないまま新株予約権での調達に頼り続ければ、既存株主の希薄化リスクは消えない。ここが今回いちばん重いところだと思う。

会社は今、何にお金を使っているのか

キャッシュフロー計算書から見た「お金の行き先」(2026年8月期)

  • 設備投資(有形・無形固定資産の取得):合計 約6,600万円
  • 研究開発費:決算短信に記載なし(該当情報なし)
  • 有価証券の取得:約10億1,700万円
  • 出資金の払込:7億円
  • 融資の実行(営業貸付金の増加):約4億6,800万円
  • 暗号資産の取得:約2億1,700万円
  • 子会社株式の取得(連結範囲の変更を伴うもの):約8,500万円
  • 株主優待ポイント引当金の繰入:約4億5,700万円(費用計上)

並べてみると、設備を直接買うお金に比べて、有価証券の購入や出資、融資、M&Aといった金融・投資まわりへの資金配分がかなり目立つ。M&Aや出資で事業ごと取り込むのも将来の収益づくりには違いないので、それ自体が悪いとは言わない。ただ、これらがどの程度の安定収益につながるのかは、まだほとんど見えていない。

こういう使い方は、当たれば早い。外れたときは一気に損失になって返ってくるわけで、今期はまさにそれが連鎖した。出資金評価損9億6,200万円、投資有価証券評価損2億4,900万円。2025年10月に子会社化したMetabit(マレーシアのブロックチェーン開発会社を傘下に持つ)に至っては、買ってから10ヶ月ほどで、のれん12億1,000万円を減損している。

用語メモ|のれん・減損:のれんは、会社を買ったときに相手の純資産より多く払った分のこと。将来の稼ぎへの期待代として資産に載せておく。期待どおり稼げないと判断したら、その価値を引き下げて損失にする(減損)。

期末ののれん残高はまだ7億7,600万円ある。日本の会計基準ではこれを毎年少しずつ費用にしていくので、来期以降の営業利益を押し下げ続ける。会社も、来期が営業赤字になる理由として、Web3事業を中心としたのれん償却を挙げている。過去の買い物のツケを、これから何年かかけて払っていく構図だ。

株主優待ポイントの引当金4.6億円も、見方によってはかなり大きい。売上26億円の会社が、優待のためにその2割近い費用を積んでいる計算になる。優待目当ての買いが入れば株価は支えられるし、そうなればMSワラントの行使も進みやすくなる……というのは推測ですが、本業の稼ぐ力を直接高める使い方とは言いにくい。

一方で、貸借対照表に機械装置8億2,500万円が新しく載ったのは、ハワイの太陽光発電会社グループを連結したためで、現金で設備を買ったわけではない。太陽光は、うまく回れば売電収入が比較的安定しやすい事業ではあるので、「法定通貨で安定的に稼ぐ」という新方針と噛み合う数少ないピースかもしれない。実際にどれくらい稼ぐのかは、来期のセグメント数字で確かめたいところだ。

なおの独自考察:判断するなら、どのタイミングか

ここからは完全に私見になる。先に言ってしまうと、少なくとも11月27日の有価証券報告書が出るまでは、ぼくは触らない。理由はわりと単純で、今日出た決算短信は監査を受けていない数字だからだ。

監査法人は5月に一度辞任していて、そのときの開示では、暗号資産の会計処理や適時開示をめぐって会社と十分な信頼関係を築けなかったことが経緯として書かれていた。その同じ監査法人が、今回の数字にどんな意見をつけるのか。そこを見ないまま「悪材料出尽くし」と判断するのは、ぼくには怖すぎる。

見ておきたい日程

  • 11月27日:有価証券報告書の提出(監査意見の内容、短信からの数字の修正有無)
  • 11月30日:定時株主総会(社長・副社長の退任、新体制の顔ぶれ)
  • 時期未定:WOWOO契約について会計監査人の確認完了の開示
  • 2027年1月中旬ごろ(推測ですが、今期の開示時期から):第1四半期決算。ZEKUUや優待のいずみの売上が実際に立ち始めているか

そのうえで、ざっくり3つのシナリオを置いている。どれも推測の域を出ないし、確率の数字をつけられるほどの材料はまだない。

A:再建有報が大きな修正なく出て、新体制がコストを削り、宿泊・ハワイ太陽光・ZEKUUで営業赤字が少しずつ縮んでいく。あり得なくはないと思う。ただそのためには、残った事業を1年で2倍にする計画がある程度当たる必要がある。
B:本線計画は部分的に未達。MSワラントの行使が続き、株価は行使価格を追いかけるようにじわじわ下を探る。業績が多少良くなっても、1株あたりの価値が薄まるスピードのほうが速い。正直、一番ありそうなのはこれだと思っている。
C:最悪有報で追加の損失や修正が出る、あるいは資金繰りが詰まる。親会社株主に帰属する自己資本は3億2,800万円しかないので、追加の損失次第では債務超過が一気に現実味を帯びる。上場維持基準の問題にもつながりかねない。ここまでは行かないでほしいけど、ゼロとは言い切れない。

深夜にここまで書いてきて、結局いちばん引っかかったまま残っているのは、やっぱりWOWOOの契約だ。暗号資産の運用からは撤退して、これからは法定通貨で安定的に稼ぐ、と会社は言う。その同じ日に、トークン価格が過去の最高値を超えなければ報酬が1円も発生しない契約を結び、まだ発生していない1億5,000万円を来期の売上に見込んでいる。これを「新しい収益基盤」と呼んでいいのかどうか、ぼくにはまだ判断がつかない。

来期の数字そのものを疑っているわけじゃない。その数字が実現するまでの道筋を、もう少しだけ見せてほしいのだ。11月27日の有報と、新体制が最初に語る言葉が、その答えの一部になるんだと思う。

※本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は執筆時点の開示資料に基づきます。投資判断はご自身の責任でお願いします。

出典

※TDnetの開示PDFは公開から一定期間で閲覧できなくなります。その場合はabc株式会社のIRページ、またはJPXの適時開示情報閲覧サービスをご確認ください。

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