HENNGEが2026年8月4日に開示し、10月2日に期中レビュー完了版として出し直した「2026年9月期 第3四半期決算短信」と決算説明資料が土台です。株価・移動平均・貸株残高は2026年10月19日時点の日足データ。開示資料で確認できた数字はそのまま書き、筆者の推算や推測が入る箇所だけ注記しています。11月の本決算で前提が変わる可能性があるので、最新情報要確認。売買を勧める記事ではありません。
10月2日の夕方16時、HENNGEのIRが4本まとめて出てきたのを見て、ちょっと笑ってしまった。増配、プライム市場への昇格承認、期中レビュー済みの短信の出し直し、そして公募増資と売出し。気分のいいニュースと、需給的にはずっしり重いニュースが同じ時刻に並んでいて、どれから開けばいいのか一瞬迷うタイプの開示だった。
で、今日10月20日がその受渡日で、プライム移行日でもある。昨日の終値は1,888円、前日比−192円で、2,049円まで買われたあとに上ヒゲを残してドスンと落ちた。
株価の話は後半に回すとして、まずは決算そのもの。中身を一枚ずつめくっていくと、これがまあ素直にいい数字なんだよね。
① 総合判定:好決算(ただし今日だけは素直に喜べない)
| 項目(9ヶ月累計) | 今期3Q | 前年同期比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 93.9億円 | +17.1% | 128.3億円 | 73.2% |
| 営業利益 | 18.5億円 | +17.4% | 20.6億円 | 90.1% |
| 経常利益 | 18.6億円 | +15.3% | 20.7億円 | 89.6% |
| 純利益(親会社株主に帰属) | 13.6億円 | +28.7% | 16.0億円 | 85.4% |
| ARR(6月末時点) | 125.2億円 | +16.7% | ― | ― |
売上も営業利益も17%台できれいにそろって伸びていて、9ヶ月で通期営業利益の9割を稼いでしまっている。これを「悪決算」と呼ぶ理由はどこにもないし、「普通」の棚に置くのもなんだか違う気がした。ただ、ここまで書いておいて何なんだけど、純利益の+28.7%だけは額面どおり受け取らないほうがいい。それは少し下で書く。
前年同期比:去年の同じ期間(今回は10月〜6月の9ヶ月)と比べて何%増えたか。
営業利益:本業で稼いだ利益。売上から原価と人件費・広告費などの経費を引いたもの。
経常利益:営業利益に、利息や為替など本業以外の損益を足し引きしたもの。
進捗率:会社が出した1年分の予想に対して、ここまでで何%達成したか。9ヶ月なら単純計算で75%が目安。
ARR:サブスクの年間契約額。「この契約がそのまま続けば来年これだけ売上が入る」という見込みの数字。
② 判定の理由:重要なポイント3つ
ポイント1 売上と営業利益が「同じ速度」で伸びている
地味に見えるけど、僕はこれが一番大事だと思っている。売上+17.1%に対して営業利益+17.4%。成長企業って、売上を伸ばすために広告や採用にお金を突っ込んで利益が置いてけぼりになるか、逆にコストを絞って利益だけ膨らませるか、どちらかに寄りがちなんだけど、HENNGEはこの2本がほぼ並走している。
営業利益率は前年と同じ19.7%。広告宣伝費の売上比は+1.8ポイント、人件費は+3.4ポイントと攻めのコストはしっかり増やしているのに、率が崩れていない。なぜそんな芸当ができるかというと、売上の約94%がHENNGE Oneというサブスクで、売上総利益率(粗利率)が86.4%もあるからだ。100円売ったら、人件費や広告費を払う前の粗利益として86円が残る商売なので、多少アクセルを踏んでも営業利益が持ちこたえる。
売上から「商品やサービスを作るのに直接かかった費用(売上原価)」だけを引いた利益の割合。ソフトウェアは一度作れば何社に売っても原価がほとんど増えないので、この数字が高く出やすい。
ポイント2 通期営業益の進捗90.1%、しかも直近3ヶ月で加速
9ヶ月経過時点の目安が75%のところ、営業利益の進捗は90.1%。前期の同じ時点を最終実績で割り戻すと約88%(1,580百万円÷1,793百万円)だから、去年よりも少し前のめりのペースで来ている。
もうひとつ、累計の数字から逆算してみると、4〜6月の3ヶ月だけで経常利益は約5.9億円になる。前年の同じ3ヶ月が約4.4億円なので、伸び率でいえば3割強だ(四半期単独は累計の差からの筆者推算)。累計の+15%より直近のほうが速く走っている、というのは個人的にかなり好きな形で、ここを見たときに「あ、これは好決算で置いていいな」と腹が決まった。
ポイント3 解約されないストックと、前払いで積み上がるお金
ARRは125.2億円で前年同期比+16.7%、契約企業は3,881社(+18.0%)、契約ユーザーは約315万人(+16.5%)。そして直近12ヶ月の平均月次解約率が0.30%で、前年同期の0.36%からさらに下がっている。
見落とされがちなのがバランスシートの「契約負債」で、9ヶ月で14.4億円増えて61.2億円になっていた。年間契約の代金を先にもらっている分なので帳簿上は負債に入るけど、中身は「お客さんがすでに払ってくれていて、これから売上に変わっていくお金」だ。自己資本比率33.5%と聞くと低く感じる人もいると思うが、借金が積み上がっているわけではなく、この前受け金が膨らんでいる影響が大きい。もちろん前受けした以上、会社にはこの先1年かけてサービスを提供し続ける義務があるので「タダでもらったお金」ではない。それでも、銀行から借りたお金とは性質がまるで違うので、比率の低さだけで身構える必要はないと思う。現預金も78.3億円ある。
契約負債:サービスを提供する前に受け取った代金。年払いのサブスクだと、もらったお金を毎月少しずつ売上に振り替えていく。
解約率(グロス):既存の契約金額のうち、解約などで減った割合。HENNGEは月次ベースで開示している。
自己資本比率:会社の資産のうち、返さなくていいお金(自己資本)の割合。一般的には高いほど安全と言われる。
違和感メモ:純利益+28.7%は少し「盛られて」見える
親会社株主に帰属する純利益は+28.7%。ところがグループ全体の四半期純利益で見ると12.4億円で、伸び率は+17.4%にとどまる。差がどこから出ているかというと、「非支配株主に帰属する純損失」が約1.2億円もあるからだ。ざっくり言えば、HENNGEが100%は持っていない子会社が赤字を出していて、その赤字の一部を他の出資者がかぶっている形。どの子会社なのかは短信からは読み取れなかった(推測ですが、海外か新規事業の子会社あたりだろうと思っている)。誤解のないように書いておくと、+28.7%は会計ルールどおりに計算された正しい数字で、水増しや粉飾の類ではない。ただ、本業の実力として見るなら+17%台のほうが実態に近いので、+28.7%だけを見出しにしている記事を見かけたら、ちょっと身構えたほうがいい。
③ 今後の見通し:数字は「弱気(保守的)」、口ぶりは強気
通期予想は売上128.3億円(+17.5%)、営業利益20.6億円(+14.7%)で、2025年11月の期初発表から一度も動かしていない。
3Qまでで営業利益18.5億円を稼いでいるので、予想どおりなら7〜9月の3ヶ月で残り約2.0億円しか上積みしない計算になる。前期の同じ4Qが約2.1億円だったことを考えると、売上は17%伸びているのに4Qの利益は横ばいか少し下、という前提で置かれていることになる。
もちろん理由はあって、HENNGEは例年4Qに広告やイベントの費用が寄りやすいし、今期は「広告宣伝費の総額は通期見通しを上回りそうだが、採用関連費用が想定より減るので営業費用の総額は変えない」と短信で説明している。それでも、前期も最終的に会社予想を上回って着地した(株予報の集計で、経常利益ベースで約6%の上振れ)という過去を踏まえると、この予想はかなり手堅いところに置かれた数字に見える。
そのくせ、会社のスタンスそのものはまったく弱気じゃない。短信では、目先の営業利益率の水準にこだわりすぎず、将来への投資でARRを積み増したい、という趣旨をはっきり書いている。数字は控えめ、口ぶりは攻め。判定としては「弱気(=保守的)」にしておくけど、悲観しているという意味ではないので、そこは誤解しないでほしい。
HENNGEは9月決算なので、7〜9月が4Q。会社の通期予想から3Qまでの実績を引くと、「4Qにいくら稼ぐ前提なのか」が逆算できる。
ここで一度、立ち止まってほしい
好決算なのに株価が上がらない。あるいは好決算に飛びついた直後に、きれいに落とされる。昨日のHENNGEの−192円を見て、その感覚を思い出した人もいるかもしれない。その仕組みは別の記事にまとめてある。
④ 注目ポイント
一番のポジティブ:解約率0.30%という「辞められなさ」
月0.30%を1年に直すと、契約金額が抜けていくのは3.5%程度という計算になる。月0.30%がこの先も続けば、の話で、将来を約束する数字ではないけど、100億円のストックがあったら新規をひとつも取らなくても96億円以上は翌年に残る、という世界だ。
HENNGE Oneはメールやクラウドサービスへのログインの「入口」を押さえるサービスで、一度会社全体に入れてしまうと、セキュリティの設定も社員の使い方もこれを前提に回り始めるから、乗り換えのコストがとにかく重い。前期に値上げをしたあとでも解約率が前年同期の0.36%から下がっている、というのは「値上げしても辞められていない」ことの証拠でもあって、僕はここを一番の安心材料として見ている。
一番のネガティブ:ARRの伸びが鈍ってきた
前期末(2025年9月期末)のARR成長率は+27.2%だった。それが今回は+16.7%で、並べると10ポイント以上の失速に見えるから、正直ちょっとドキッとする。
理由はたぶん単純で、前期は値上げの効果で1ユーザーあたりの年額単価(ARPU)が+13.4%も伸びていた。その上乗せが一巡して、いまは「契約企業とユーザーを増やす」という本来の伸び方に戻ってきた、と読める。気になるのはそのARPUが4〜6月の3ヶ月で41円下がっていることで、会社は「大きめの企業が単機能プランで新規契約した影響」と説明している。大企業が入ってくれるのは悪いことじゃないんだけど、機能を絞った安いプランで入ってくる流れが続くなら、単価は伸びにくくなる。
会社はFY2029(2029年9月期)にARR200億円という目標を掲げているが、前期末の111億円から逆算すると年16%ほどの成長が必要で、いまの+16.7%はその線の上をぎりぎり歩いている状態。余裕があるとは言いにくい。10月から始まった新プランが単価を押し上げられるのかどうか、ここが今いちばん答えの出ていない部分だと思う。
1ユーザーあたりの平均の年間契約額。HENNGEのARRは「契約企業数 × 1社あたりのユーザー数 × ARPU」で分解できるので、どこが伸びてどこが縮んだかを見ると成長の中身がわかる。
会社はいま、何にお金を使っているか
工場を建てる会社ではないので、お金の行き先はほとんどが「人」と「広告」になる。決算説明資料と短信からざっと拾うと、こんな感じだ。
| 使い道 | 中身 | 数字 | 将来の稼ぎへの効き方 |
|---|---|---|---|
| 人(採用) | 営業・開発の増員。全社45名以上の純増が目標 | 人件費の売上比28.7%(+3.4pt)/期初から40名純増 | 「売る力」を増やし、契約企業数を伸ばす |
| 広告・ブランディング | 新製品発表会、70件超のイベント出展・登壇 | 通期見通し11.5億円(+20.1%)を上回る見込み/売上比9.5% | 認知と新規獲得。効果が数字に出るまで時間差がある |
| 製品開発 | 3月にEndpoint & Managed Securityを開始、10月以降に新機能・新プラン | 研究開発費は売上比で数%台(説明資料のグラフより、要出典確認) | 守備範囲を広げて単価(ARPU)を上げる |
| 出資・M&A | シナジーのあるB2Bスタートアップへの投資 | 投資有価証券が9ヶ月で約6億円増 | 将来の機能追加の種。当たり外れは大きい |
| 本社移転 | 2027年4月の移転に向けて費用処理を開始 | 減価償却費が増加 | しばらくは利益の重し |
SaaSのいいところは、一度取った契約が毎年ほぼそのまま積み上がっていくところで、広告や人に使ったお金は今期の費用として一気に落ちるのに、それが生んだ売上は何年も続く。だから今の営業利益率19.7%には、投資のペースを落とせば高められる余地がまだ残っている、と僕は見ている。
会社自身も、2035〜37年度にARR1,000億円と潜在的な営業利益率50%が見える事業を作る、というかなり大きな絵を描いている。……正直ここは、半分眉唾で聞いている。ARR125億円から1,000億円って8倍だからね。それでも「今は利益率を多少犠牲にしてでも契約を積み、後で回収する」という方向性はブレていなくて、その意味で今の支出は将来の稼ぎやすさにつながる種類のお金だと思う。
そこに今回のPOで、新株110万株ぶんの資金が入ってくる。10月13日に決まったPO価格1,831円で計算すると募集総額は約20.1億円(引受手数料などを引いた会社の手取りは、これより少し減る)。使い道は主に広告宣伝と採用だと報じられていて、要は上のアクセルをもう一段踏み込むためのお金だ。
この理屈は「広告と人に使ったお金が、ちゃんと契約になって返ってくる」ことが前提で、広告の効きが落ちたら一気に崩れる。今期は広告費が計画を上回る見込みなのに、ARRの伸びは前期より鈍っている。広告1円あたりで取れる契約が減っていないか、来期の数字で確かめたいところだ。
1,257円で自社株を買い、1,831円で新株を売る会社
ここからは少し毒を混ぜる。決算の評価とは別の話として読んでほしい。
HENNGEは2025年11月の取締役会決議で自己株式を70万株、8.8億円ぶん買っている。単純に割ると1株あたり約1,257円(筆者計算)。そして約1年後のいま、10月13日に決まった1株1,831円で、110万株を新しく発行する。
株価だけを並べれば、安く自社株を買って、高い株価で新株を出したことになるし、資本政策として合理的な面もあるのだろう。ただ、買った株をそのまま高く売り直したわけではないし、既存株主にとって無条件に得な取引かと言われると、それも違う。新株が増えれば1株あたりの取り分は薄まるし、株価への影響まで含めれば答えは一つに決まらない。
僕が引っかかるのは、むしろその順番のほうだ。開示資料を読むと、今回の増資には成長投資と並んで、プライム市場の上場基準である「純資産50億円以上」を満たす目的があると書かれている。3Q末の純資産は41.1億円。自社株買いで純資産を減らした会社が、今度はその基準を満たすために増資をする。最初からこの資本政策を一本の線で描いていたのだろうか、という疑問はどうしても残る。
売っているのは誰か
今回市場に出てくる株は新株だけじゃない。小椋社長、宮本副社長、永留副社長という創業期からの3人が、合計138万株を売り出す。1,831円で計算すると売出総額は約25.3億円で、公募110万株の募集総額(約20.1億円)を上回る。どちらも税金や手数料を引く前の金額なので、それぞれの手取りとは一致しないけど、今回のPOは会社の資金調達であると同時に、大株主が持ち株を現金化する場にもなっている、という構図は変わらない。そして同じ日に、年間配当予想を6円から11円へ引き上げた。期末配当の基準日は9月30日なので、この増配を受け取るのは売出し前の株主で、そこには創業者自身も含まれる。
| 区分 | 株数 | 中身 |
|---|---|---|
| 公募(新株発行) | 110万株 | 会社の資金調達。募集総額 約20.1億円 |
| 売出し(創業者3人) | 138万株 | 既存株の現金化。売出総額 約25.3億円 |
| オーバーアロットメント(OA) | 最大37.2万株 | 需要に応じた追加の売出し |
| 合計 | 285.2万株 | 発行済株式(3,250万600株)の約8.78% |
285.2万株がまるごと新株というわけではなく、純粋に株数が増えるのは公募の110万株と、OAに対応する第三者割当(最大37.2万株)の分。希薄化率は最大で約4.53%になる。それでも需給の話として見るなら、市場に出てくる株の量は285.2万株で、10月19日の出来高170.3万株と単純に比べると、その約1.67倍にあたる。
オーバーアロットメント(OA):POの需要が多いときに、主幹事証券が大株主から株を借りて追加で売り出す仕組み。あとで市場から買い戻すか、会社から新株を受け取って(第三者割当)返す。
希薄化:新株が増えることで、1株あたりの利益や議決権の比率が薄まること。
ロックアップ(一定期間の売却制限)はかかっているし、創業者が持ち株の一部を現金化すること自体は上場企業ではよくある話で、違法でもなんでもない。責めるつもりはない。ただ、好決算・増配・プライム昇格という明るい看板が並んだその瞬間に、会社のことを一番よく知っている人たちが売り手に回っている。その事実だけは頭の隅に置いておいたほうがいいと思う。ニュースがいちばん明るい日に、誰が売っているのかを見る。株の世界では、それが一番正直な指標だったりするから。
なおの独自考察:受渡日の今日、どこを見るか
日足のデータ(2025年10月〜2026年10月19日)を眺めていて、まず目につくのは上昇の角度だ。2026年2月24日に安値880円をつけたあと、8月4日の決算発表日の終値1,301円から、翌日は1,519円(+16.8%)まで飛んだ。この日の出来高は254万株で、1年間の平均(約54万株)の4倍以上が一気に流れ込んでいる。そこから9月末に1,700円台へ、POを発表したあとも下がるどころか、10月16日には高値2,168円まで買われた。
普通、POを発表した銘柄は希薄化と需給の悪化を嫌って売られることが多い。HENNGEは逆に上がった。プライム昇格に伴う新しい買い需要を先回りした動き、と読むのが自然なんだろうけど(推測です)、あまりに素直すぎる上がり方で、正直ここは少し不気味だった。
もうひとつ引っかかったのが貸株残高だ。PO発表日の10月2日に8.5万株だったものが、10月19日には21.8万株まで、約2.56倍に膨らんでいる。融資残高も1.7万株から8.5万株に増えているが、貸借倍率は0.39倍で、売りのほうが多い状態が続いている。
POに絡んだつなぎ売り(割り当てを見越して、受渡し前に株を借りて売っておくこと)が含まれている可能性はある。ただ、これは日本証券金融の制度信用取引のデータで、市場全体の空売りの量ではないし、この数字だけで売り手の正体まではわからない。受渡日に割り当てられた現物株で返済される取引もあるから、貸株残高が減ったとしても、それがそのまま市場での買い戻しになるとは限らない。
むしろ気になるのは、285万株を超える今回の募集・売出しを、プライム移行後の市場がどこまで吸収できるかのほうだ。受渡しが終わってから、本当の需給がやっと見えてくるのかもしれない。
| 10月19日時点 | 水準 | 終値1,888円との位置関係 |
|---|---|---|
| 5日移動平均 | 1,952円 | すでに下に割り込んでいる |
| PO価格 | 1,831円 | 割り当てを受けた人の損益の分かれ目 |
| 25日移動平均 | 1,786円 | PO価格を割ったら最初に意識されそうな線 |
| 75日移動平均 | 1,530円 | 8月の決算翌日の終値(1,519円)とほぼ同じ水準 |
| 100日移動平均 | 1,420円 | ここまで来ると上昇トレンドの見直し |
| 200日移動平均 | 1,243円 | 長期の目安 |
移動平均線:過去○日間の終値の平均をつないだ線。25日線は約1ヶ月、75日線は約3ヶ月の平均的な買値の目安として見られることが多い。
貸株残高・融資残高:制度信用取引で、売り方に貸し出された株(貸株)と、買い方に貸し出されたお金に相当する株数(融資)。貸借倍率は融資÷貸株で、1倍を下回ると売りのほうが多い。
| シナリオ | 条件 | 値動きのイメージ | 僕の主観 |
|---|---|---|---|
| A 強気 | PO価格1,831円を守り、11月上旬の本決算で来期のARR再加速を示す | 2,000円台を回復し、高値2,168円を試す | 3割くらい |
| B 中立 | 受渡後の売り買いが拮抗し、本決算待ちに入る | 1,800〜2,000円のもみ合い | 一番ありそう(4〜5割) |
| C 弱気 | 受渡後の売りで1,831円を割り、来期予想が控えめすぎて失望される | まず25日線の1,786円付近、そこも割れれば75日線の1,530円付近まで調整 | 2〜3割 |
僕が見るとしたら、受渡日から数日はとりあえず手を出さない。PO価格の1,831円は、割り当てを受けた人たちにとっての損益の分かれ目で、ここを割り込むと投げ売りが連鎖しやすいラインだからだ。割れた場合、すぐ下の25日線1,786円で止まるかどうかが最初の試金石で、そこも維持できなければ75日線の1,530円付近まで調整が深まる可能性がある。逆に、1,831円の近辺で下げ止まって出来高がすっと細っていくなら、「売りたい人は一通り売った」という合図になりうる。
本番はたぶん11月上旬の本決算(前年は11月7日、最新情報要確認)で出てくる2027年9月期の会社予想だと思う。新プランで単価が上がる前提を織り込んでくるのか、それとも広告と採用を優先して利益率を据え置くのか。後者だった場合、予想PERで見て約37.7倍(1,888円÷会社予想EPS 50.06円で筆者計算)、希薄化を考えればもう少し高くなるこのバリュエーションは、ちょっと重く感じられるかもしれない。
・9月末のARRと、その前年同期比が16%台を保てているか
・ARPUが下げ止まったか(新プランの効果)
・来期の広告宣伝費の計画と、営業利益率の置き方
・非支配株主に帰属する損失がさらに膨らんでいないか
まとめ:決算は満点に近い。でも今日は、ノイズが多すぎる
決算だけを切り取れば、文句なしの好決算だと思う。売上と利益が同じ速度で伸び、解約はさらに減り、お客さんは先にお金を払ってくれている。ここまで手堅いSaaSは、グロース市場ではかなり珍しかった。
それでも今日この銘柄を見る目が少し冷めているのは、決算の外側にある需給の話があまりに濃いからだ。ARRの減速、純利益の見え方、POと創業者の売出し。どれも単独で「悪い」と言い切れるものではないんだけど、いい話だけを根拠に買うには、ちょっと雑音が多すぎる。迷っているなら、迷ったまま1ヶ月眺めていてもいい銘柄だと思う。逃げ足の速い会社じゃないから。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料・報道をもとに筆者が整理したもので、誤りを含む可能性があります。投資判断はご自身の責任でお願いします。
出典
- HENNGE「2026年9月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月4日、10月2日に期中レビュー完了版を再開示)
- HENNGE「2026年9月期 第3四半期 決算説明資料」(2026年8月4日)
- HENNGE「新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ」(2026年10月2日/日経会社情報DIGITAL)
- HENNGE「東京証券取引所プライム市場への上場市場区分変更承認に関するお知らせ」(2026年10月2日)
- 株探ニュース「HENNGE、前期配当を5円増額修正」(松井証券掲載、2026年10月2日)
- IPO基礎知識「HENNGE(4475)のPO情報」(PO価格・日程)
- 株予報「HENNGE(4475)業績進捗状況」(四半期ごとの経常利益)
- 株価・出来高・貸株残高:日足データ(2025年10月20日〜2026年10月19日)
── 読んで「なるほど」で終わるな ──
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