海帆とアンジェスはなぜ「急成長100社」に?JPX指数の選定基準を検証

コラム・読み物

JPX総研が7月7日に出した「JPXスタートアップ急成長100指数」の定期選定結果。除外29銘柄の一覧をぼんやり上から眺めていて、コード3133のところで手が止まった。

海帆が「除外」の側にいること自体は、まあ驚かない。引っかかったのはその手前で、除外されるにはまず入っていなければならない、という当たり前の話だ。海帆は2026年3月の配信開始から7月末まで、JPXが「日本を代表する高成長スタートアップ100社」と呼ぶ指数の中に、ちゃんと座っていたことになる。

同じリストにはアンジェス(4563)もいる。事情を知っている人なら、この2社が並んでいるのを見て、少し眉をひそめると思う。

そこで今回は、この2社を軸に、JPXの指数が何を「成長」と呼んでいたのか、7月の除外は誰がどういう物差しで決めたのかを、公表資料だけで追ってみた。調べていくうちに、思っていたのとは少し違う話が出てきた。JPX自身も、配信開始から1カ月ほどで、選定条件を書き足していた。

この記事のポイント
・海帆とアンジェスは、指数公表時(2026年2月13日)の構成銘柄だった
・当初の選定ルールに「継続企業の前提」や「監査意見」を見る条件はなかった
・JPXは4月に改定案を出し、5月にGC注記・意見不表明などを母集団から外す条件を追加した
・7月の除外はルールで説明がつくが、そのルールは5月に書き足されたばかりだった(筆者分析)
・問うべきは「なぜ7月に外したか」より「なぜ2月に採用できたか」
・アンジェスの自己資本比率3.5%などの数字は、除外の後(8月14日)に開示されたもの

除外29銘柄の中にいた、気になる名前たち

7月の定期入替では31銘柄が加わり、29銘柄が外れた。外れた側には、創薬や再生医療、宇宙といった、研究開発に先にお金を使うタイプの会社が目立つ。その中に、飲食から再エネ、メディカルへと事業を広げてきた海帆が混じっている。

コード銘柄事業の性格JPXが示した除外理由
3133海帆飲食・再エネ・メディカル非公表
4563アンジェス遺伝子医薬(創薬)非公表
9348ispace月面輸送(宇宙)非公表
4565ネクセラファーマ創薬非公表
4575 / 4592 / 4593キャンバス/サンバイオ/ヘリオス創薬・再生医療非公表
290ASynspective小型SAR衛星(宇宙)非公表

最後の列がすべて「非公表」になっているのは、手抜きではない。JPXの選定結果資料に載っているのはコードと社名だけで、なぜその銘柄が外れたのかは一行も書かれていない。だから外から理由を知るには、算出要領のルールと各社の開示を一つずつ突き合わせるしかない。今回やったのは、ほぼその作業だ。

この指数は、何を「成長」と呼んでいたのか

【事実】当初の選定ルール(算出要領 2026年2月13日版)
母集団:グロース市場指数の構成銘柄など。ただし整理銘柄、特別注意銘柄、月平均時価総額100億円未満の銘柄は除く
成長性基準(どちらか一方を満たせばよい)
① 売上高成長率:当期売上が前期比20%以上増(既存銘柄は10%以上)、かつ当期売上1億円以上
② 時価総額成長率:1年前比または半年前比で、グロース250指数の伸び+100%以上(既存銘柄は1年前比で+50%以上)
最終選定:①か②で残った銘柄を、時価総額の大きい順に100銘柄
定期入替:年1回(7月最終営業日)。基準日は毎年5月最終営業日

並べてみると分かるが、売上の伸びも時価総額の伸びも、どちらも「速さ」を測る物差しだ。手元の現金があと何カ月もつのか。監査人が会社の存続そのものに首をかしげていないか。そういう「生き残れるか」を測る物差しは、当初のルールには一本も入っていなかった。

これを最初から設計ミスと決めつけるのは、ちょっと違うと思っている。スタートアップは赤字が普通で、赤字企業を一律に外したら、急成長100社という看板そのものが成り立たない。その判断は理解できる。ただ、「赤字であること」と「継続企業の前提に重要な不確実性があること」は、まったく別の段階の話だ。当初のルールは、この二つを区別する仕組みを持っていなかった。

アンジェスは「売上9.6倍」で、基準を余裕で満たす計算になる

アンジェスがこの指数に入った経路は、決算の数字を当てはめるとかなりはっきり見えてくる。

2023年12月期の事業収益は約0.67億円。それが2024年12月期には約6.43億円になった。2024年5月に販売を始めた早老症治療薬「ゾキンヴィ」が乗ってきたからで、伸び率にすると約9.6倍。売上高成長率基準の「20%以上」も「売上1億円以上」も、軽々と超えている。同じ2024年12月期の営業損失は約91億円だった。

【筆者分析】売上6億円で「急成長」、営業赤字は91億円
この指数は、2022年5月末を初期選定の基準日とし、その後も毎年7月に入替をしてきたものとして過去にさかのぼって算出されている。2月に公表された構成銘柄は、その流れの直近にあたる、2025年5月末を基準日とする定期選定の結果だと読める。その時点の「当期」は2024年12月期になるため、アンジェスは売上高成長率基準を満たす計算になる。ルール通りに計算すればこうなる、という話で、アンジェスが不正に入り込んだわけではない。物差しが、売上の伸び率しか見ていなかったというだけのことだ。

もう一つ、日付で引っかかったことがある。アンジェスは2026年2月10日の2025年12月期決算短信で、「継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在している」と自ら判断していた。JPXが構成銘柄と算出要領を公表したのは、その3日後の2月13日だ。

当時のルールには、これを理由に外す条項がない。強いて言えば「構成銘柄として採用することが著しく不適当とJPX総研が認めた場合」という一文はあった。3日前の開示を、そこまで読んで判断しろというのは酷かもしれない。それでも、日付だけ並べると、正直ちょっと居心地が悪い。

海帆は何で入ったのか。ここは正直、分からない

アンジェスと違って、海帆のほうは経路がはっきりしない。確実に言えるのは、ルール上、選定基準日の月平均時価総額が100億円以上あったはずだ、ということくらいだ。それ未満なら、そもそも母集団に入れない。

推測ですが、ルートは二つ考えられる。一つは株価の急騰で時価総額成長率基準を満たした可能性。もう一つは、2025年3月期にメディカル事業の会社を子会社化して売上を積み増したことで、売上高成長率基準に届いた可能性だ。どちらだったのか、JPXは公表していない。

ただ、どちらのルートだったとしても、ルール上は同じ「成長」として数えられる。M&Aで買ってきた売上も、需給で跳ねた株価も、物差しの上では区別がつかない。そして2025年3月期の有価証券報告書の時点で、海帆はすでに「継続企業の前提に関する重要事象等」を開示していた。会社自身が「疑義を生じさせる状況がある」と書いていた銘柄が、「高成長スタートアップ」の看板の下に入っていたことになる。ここがいちばん気持ち悪いところだ。

あわせて読みたい
海帆の監査意見が「意見不表明 → 結論不表明」と続いた流れと、東証の特別注意銘柄制度との距離は、こちらで整理しています。
→ 海帆3133は特別注意銘柄になるのか?意見不表明2回と東証の距離

JPXは4月、算出要領に除外条件を書き足していた

ここからが、調べていていちばん「お?」となった部分だ。

配信開始から約1カ月後の2026年4月13日、JPX総研は算出要領の改定案を出して、意見募集(指数コンサルテーション)を始めている。趣旨は、指数のコンセプトに照らして、成長性の判断に影響が出るような銘柄を定期入替の母集団から外す、というものだった。

【事実】改定で追加された「母集団からの除外」条件
・当期の財務諸表等に継続企業の前提に関する注記がある
・当期の内部統制報告書に、開示すべき重要な不備がある、または評価結果を表明できない
・当期の監査報告書が「不適正意見」または「意見の表明をしない」
・監理銘柄(審査中)に指定されている
※選定基準日から選定結果の公表までの状況を勘案することがある
確定:2026年5月15日に改定(賛成意見のみ、反対意見なし)
適用:2026年7月の定期入替から

出したばかりの指数の選定条件を1カ月ほどで書き足すのは、あまり格好のいい話じゃない。それでも書き足した点は、素直に評価していいと思う。何もしないまま7月を迎えるより、ずっといい。

裏を返せば、2月の設計段階では、この4つの条件がなくても困らないと考えていたことになる。たまたまだろうが、改定が確定した5月15日は、海帆が2026年3月期の決算短信を出した日でもある。その短信には継続企業の前提に関する注記が付いていた。日付が重なっているのを見て、少し笑ってしまった。

7月の除外は「機械的」だったのか

7月の除外が機械的な基準によるものだったのか、それとも企業ごとのリスクを考慮したものだったのか。結論から言うと、2社ともルールで説明がつく除外だったと読める。ただし、そのルールは5月に書き足されたばかりだった。

アンジェスで計算してみる。7月入替の「当期」は2025年12月期で、事業収益は約8.74億円。前期の約6.43億円からは約36%の増収になる。既存銘柄に適用される売上基準は「10%以上」なので、成長性の物差しだけで見れば基準を満たしていた計算になる。

【筆者分析】売上基準は満たしていた。それでも外れた理由は分からない
2025年12月期の決算短信と有報には、継続企業の前提に重要な不確実性があるという判断が明記されている。新設されたGC注記の除外条件が影響した可能性はある。ただ、売上基準を満たしていても、5月末時点の時価総額が100億円以上あったか、最終的に時価総額順で100社の枠に入ったか、という別の関門が残っている。どこで落ちたのかは外からは確かめられないし、JPXも個別の除外理由を明らかにしていない。旧ルールのままなら残っていた、とまでは言えない。

海帆はもっと分かりやすい。2026年6月26日、2026年3月期の有価証券報告書に対する監査意見が「意見不表明」になった。改定後の条件には「当期の監査報告書が意見を表明しない」がそのまま入っていて、公表日(7月7日)より前の出来事なので、勘案の対象にも収まる。

【時系列】看板とリスクのすれ違い
2026/2/10 アンジェス、決算短信で「継続企業の前提に重要な不確実性」
2026/2/13 JPX、構成銘柄と算出要領を公表(海帆・アンジェスとも採用)
2026/3/9 指数の配信開始(3/11には連動ETF「526A」が上場)
2026/4/13 JPX、GC注記・意見不表明などを除外する改定案
2026/5/15 改定確定。同日、海帆の決算短信にGC注記
2026/6/26 海帆、有報の監査意見が「意見不表明」
2026/7/7 定期選定結果の公表(海帆・アンジェスとも除外)
2026/7/31 除外の実施
2026/8/14 アンジェス中間決算(自己資本比率3.5%)、海帆1Qは「結論不表明」

この表で見てほしいのは、6月26日から7月31日までの約5週間だ。海帆は監査人から意見不表明を受けた状態のまま、指数の構成銘柄であり続けた。選定結果資料の注記を見ると、この期間に非定期で外れたのはラクスルとINFORICHの2銘柄だけ。海帆は臨時では外されず、7月の定期入替を待って外れている。

ルール上、構成銘柄を途中で外すのは、上場廃止、整理銘柄、特別注意銘柄に指定されたときと、「継続することが著しく不適当」とJPXが認めたときに限られる。最後の一文は使える条文として存在していたが、使われなかった。それが慎重さなのか、そもそも想定していなかったのかは、外からは分からない。

JPXはなぜ、配信開始の直後にルールを変えたのか

7月に海帆とアンジェスが外れたこと自体は、ここまで読んでもらえれば、そこまで不思議な話ではないと思う。引っかかるのは逆の方向で、なぜ最初に入れられたのか、のほうだ。

アンジェスは2026年2月10日の決算短信で、継続企業の前提に関する重要な不確実性を自ら書いていた。その3日後に、JPXは同社を含む100社を「日本を代表する高成長スタートアップ」として公表している。配信開始から約1カ月後の4月13日には改定案が出て、5月15日に改定、7月の定期入替で2社そろって除外という流れだ。日付を並べてみると、入れ替わったのは銘柄だけではなかったことが分かる。銘柄を選ぶ仕組みそのものが、指数が走り出して数カ月のうちに組み替えられていた。

改定案に書かれた理由は、先に紹介した「成長性の判断に影響が生じるような場合に除外するため」という趣旨の一文だけで、2月の時点でなぜそれが入っていなかったのかには触れていない。

【注意】「最初から落ちていた」とまでは言えない理由
細かい話だが、2月の構成銘柄は、2025年5月末を基準日とする直近の定期選定の結果と読める(初期選定の基準日は2022年5月末)。そのときのアンジェスの「当期」は2024年12月期になる。改定後の条件を当時の手順にそのまま当てはめても、外れたかどうかはその期の決算書の注記次第で、はっきりとは言えない。海帆も、2月時点で開示していたのは「重要事象等」で、GC注記が付いたのは5月の決算短信からだ。だから「改定後の基準なら最初から2社とも落ちていた」とまでは書かないでおく。ただ、公表の時点で誰でも読める開示がすでに出ていたのに、それを見る物差しが指数になかったことは、日付がはっきり示している。

これは当初の指数設計に穴があったということなのか。それとも、想定していたリスクを後から条文にしただけなのか。正直、外からはどちらとも取れる。前者なら設計が甘かったという話で済むけれど、後者だとすると、分かっていて最初の100社に入れたことになる。こっちのほうが、むしろ説明が要る気がしている。

JPXに聞きたいのは、7月に外した理由ではない。そこはルールを読めば、おおよそ見当がつく。聞きたいのは、なぜ2月には採用できたのか、そしてなぜわずか数カ月で除外基準を足す必要が出てきたのか、その二つだ。

その説明がないままだと、「日本を代表する高成長スタートアップ」という看板がどこまでの意味を持つのか、こちらとしては測りようがない。指数の成績がいいだけに、余計にそう思ってしまう。

アンジェスの「3.5%」は、除外の後に出てきた数字だ

ここは、JPXに厳しい側に立つ人ほど混ぜてしまいがちなので、分けて書いておく。

アンジェスの2026年12月期中間決算(8月14日)では、純資産が約2.05億円、自己資本比率3.5%、現金及び預金は約2.81億円まで減った。取引先から約21億円の支払猶予を受けていて、7月末時点では約24億円に膨らんでいる。期限は約9億円が8月末、約14億円が11月末だ。数字だけ見ると、かなり息苦しい。

ただ、どれも7月7日の除外判断の時点でJPXが見られた数字ではない。これを「JPXは3.5%の会社を放置していた」という話に使うと、批判が雑になる。JPXに向けて言えるのは、あくまで2月時点で会社自身がGCの不確実性を開示していたのに、指数の物差しがそれを拾う構造になっていなかった、というところまでだ。

その後、アンジェスは8月に転換社債型新株予約権付社債で20億円を調達し、行使価額修正条項付の新株予約権も発行した。全部行使された場合の希薄化率は約45.88%。株価は発表後に下がり、8月24日の終値は39円だったとされる。HGF遺伝子治療用製品の米国承認申請とライセンス契約が本当に進めば景色は変わるのだろうけど、それまでの資金をどう繋ぐかが、いまの勝負どころになっている。

赤字の会社と、前提を疑われている会社は別物だ

除外リストに並んだほかの銘柄まで、海帆やアンジェスと同じ箱に入れるのは乱暴だと思う。たとえばispaceは、指数公表時のウエイトで5番目(1.1%)の銘柄だった。宇宙や創薬は、何年も先の成果のために今お金を燃やす商売で、赤字そのものは設計の想定内にある。

問題は赤字の大きさではなくて、どの段階まで来ているかだ。ざっくり分けると、次のようになる。

段階中身指数の扱い
① 赤字先行投資で損失が出ている改定前も後も対象になりうる
② 重要事象等経営者が「疑義を生じさせる状況がある」と書く改定後も除外条件には入っていない
③ GC注記対応策を打っても「重要な不確実性」が残ると判断改定後は母集団から除外
④ 意見不表明監査人が判断に必要な証拠すら得られない改定後は母集団から除外

改定後の指数は、③と④をはじけるようになった。②は今もすり抜ける。もっと根本的なことを言えば、③や④は監査人が最後に出すサインだ。資金繰りが詰まりかけていることは、株価や開示の端々に、もっと早く表れていることが多い。物差しを監査意見に寄せた時点で、指数はどうしても一歩遅れる。そこは割り切った設計なのだと思う。

指数に入ったことは「品質保証」ではない。自分で見る3つの場所

誤解のないように書いておくと、指数そのものの成績は悪くない。JPX総研によると、2026年度上期の騰落率はTOPIXの+18.7%、グロース250の+14.7%を上回る+26.0%だった。だから余計にややこしい。指数がうまくいっていることと、個々の構成銘柄が安全かどうかは、まったく別の話だからだ。

お金の流れで言えば、連動ETF(526A)の時価総額は7月上旬時点で3億円程度にとどまる。指数に入ったことで海帆やアンジェスに大量の資金が流れ込んだ、という構図は考えにくい。効いていたのはお金よりも看板のほうで、JPXは構成銘柄にロゴマークの利用を認めていて、IR資料や名刺にも使えるようになっている。実際、採用を「これまでの成長への評価」としてIRで告知した会社も多い。看板は、それだけで信用を運んでしまう。

【実践】「急成長100社」の看板を見たら、先にここを開く
① 決算短信の「継続企業の前提」の欄
「重要事象等」なのか「注記」なのかで重さが違う。短信の目次に「継続企業の前提に関する注記」が出てきたら、改定後の指数なら翌年の母集団に入れない水準だと考えていい。

② JPXの「不適正意見・意見不表明・限定付適正意見等一覧」
監査人がさじを投げた会社はここに載る。四半期決算短信の分は週次で更新されている。

③ 入替は年1回、という事実
定期入替は毎年7月だけ。その間に財務が崩れても、特別注意銘柄などに指定されない限り、指数には残り続ける。採用のIRが出た日と、自分が株を見ている日のあいだに、何カ月の空白があるかを意識しておきたい。

なおの独自考察|次の分岐点はいつ来るか
今回いちばん考えさせられたのは、JPXが悪意を持っていたかどうかではない。速さだけを測る物差しで「成長」を定義すると、M&Aで膨らんだ売上も、需給で跳ねた株価も、売上6億円で営業赤字91億円の会社も、同じ「急成長」として並んでしまう。その構造に関わる除外条件を、取引所自身が配信開始から間もなく追加した。この順番は記録しておく価値があると思っている。
そのうえで、どうしても残る疑問が一つある。JPXが「成長性の判断に影響するから」除外条件を足したのなら、指数を設計した段階では、なぜその条件が要らないと判断したのか。4月の改定案は、この問いには答えていない。7月に何を外したかより、2月に何を入れたか。この記事で本当に問いたいのは、その一点だ。
時間軸で見ると、次の定期入替は2027年7月で、基準日は2027年5月末になる。改定後のルールでは、GC注記や意見不表明が付いた銘柄は、成長率がどれだけ高くても母集団に戻れない。海帆やアンジェスが再び指数に入るための条件は、もう「成長」ではなく「監査」になった。これは小さくない変化だ。
アンジェスのシナリオ(筆者分析)
A:HGF遺伝子治療用製品の販売ライセンスでLOI(基本合意書)が年内に出る → 資金繰りの見え方が一変する。会社側は12月頃のLOI締結を目指していると説明されている
B:新株予約権の行使で11月末の約14億円の期限を凌ぐ → 希薄化と株価の綱引きが続く
C:支払猶予が再延長される → 「猶予」が常態化しているサインとして、いちばん警戒したい
海帆のほうは、1Qも結論不表明で、次の監査判断と東証の審査がそのまま分岐点になる。指数の話はもう終わっていて、残っているのは上場会社としての手続きの話だ。
正直に書くと、指数から外れた直後の銘柄は需給で売られやすいので、「除外リスト」を逆張りの買い候補として眺めてしまう癖が自分にはある。長年相場を見ていると、そういう場面で拾った株が化けた記憶も、少しはあるからだ。ただ今回の2社は、外れた理由が物差しの側の都合ではなく、監査人の判断だった。そこだけは、どうしても割り切れずにいる。
※本記事は2026年10月20日時点の公表資料をもとにした分析で、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。「筆者分析」と明記した部分は筆者の見解・推論です。JPXは銘柄ごとの除外理由を公表していません。2026年以降の情報を多く含むため、投資判断の前に最新情報要確認。
出典
・JPX総研「JPXスタートアップ急成長100指数定期選定結果(2026年7月31日実施)及び構成銘柄一覧」(2026年7月7日公表)
・JPX総研「東証指数算出要領(JPXスタートアップ急成長100指数編)」2026年2月13日版
・JPX総研「JPXスタートアップ急成長100指数の算出要領の改定について」(2026年4月13日)
・JPX総研「算出要領の改定に関する指数コンサルテーションへの対応について」(2026年5月15日)
・JPX「JPXスタートアップ急成長100指数」概要・ロゴマークの利用
・第一生命経済研究所「JPXスタートアップ急成長100指数は何を映すのか?」(2022年5月末への遡及選定に言及)
・JPX「JPXスタートアップ急成長100指数」説明資料(構成銘柄ウエイト)
・JPX「不適正意見・意見不表明・限定付適正意見等一覧」
・海帆「意見不表明に関するお知らせ」に関する補足資料(2026年6月26日)
・海帆 有価証券報告書(2025年3月期)「継続企業の前提に関する重要事象等」
・note「監査法人が半年で辞める会社の話・答え合わせ」(海帆2026年3月期決算短信のGC注記に言及)
・アンジェス「2025年12月期 決算短信」(2026年2月10日)
・アンジェス「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信」(2026年8月14日)
・フィスコ「アンジェス 企業調査レポート」(2026年9月16日)
・東証マネ部!「526A:JPXスタートアップ急成長100ETF」
・松井証券「526A JPXスタートアップ急成長100ETF」(2026年7月6日時点)
・東証マネ部!「JPXスタートアップ急成長100指数 2026年度上期のパフォーマンスを振り返る」

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